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レーヴァティン
第四十四話 琵琶湖その十三

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「お気をつけを」
「エイズだな」
「それはご承知ですね」
「当然だ、だが俺はむしろエイズよりもな」
 この性病のことはわかっているがというのだ。
「梅毒の方が怖いな」
「この世界にもありますし」
「あの症状は聞いていてだ」
 梅毒のそれはというのだ。
「恐ろしいものがある」
「エイズよりも」
「エイズの方がましに思える」
 梅毒と比べればというのだ。
「同じ死ぬにしてもな」
「確かに。梅毒はでござる」
 智も梅毒について言及した、一行は今は宿を出る用意に入っている、そうしつつ一行は話をしているのである。
「身体が腐り鼻も落ち」
「脊髄や脳もやられてな」
「苦しみぬいて死ぬでござる」
「狂死した話もあったな」
「スメタナでござるな」
 智はチェコのこの音楽家の名前も出した。
「あの音楽家もまた」
「梅毒で死んだのか」
「どうもその様でござるよ」
「耳が悪かったとは聞いていたが」
「耳も聴こえなくなってでござる」
 そしてだったのだ、実際に。
「そのうえで脳にも及び」
「そしてか」
「狂死したそうでござる」
「では耳もか」
「梅毒のせいとか」
「ベートーベンの様だな」
 ベートーベンの耳が聴こえなくなっていったことはつとに有名だがそれも梅毒のせいだったと言われている。
「それでは」
「はい、実はベートーベンもでしたね」
「そしてスメタナもか」
「そうだったと言われています」
「梅毒の為に耳が聴こえなくなりか」
「狂死したと言われています」
「その話を聞くと余計にだな」
 梅毒、この病気はというのだ。
「恐ろしい、エイズ以上にな」
「罹ってしまうとでござるな」
「命の危険がある」
「エイズとそれは同じにしましても」
「症状がエイズ以上に恐ろしい」
「だからでござるな」
「気をつけていく」
 この病気にというのだ。
「この世界でもな」
「そして拙者達の世界でも」
「気をつけて女を楽しむか」
「それがいいかと、では」
 良太があらためて言ってきた。
「これからですね」
「仲間になりそうな奴のところに行くか」
「そうしますか、何でもです」
 良太はその者についてさらに話した。
「この街に暫くいるそうです」
「そうなのか」
「はい、ここ一ヶ月程は」
「そうして遊んでいるか」
「湯に女、酒に馳走を」
「遊び人の様だな」
「それもかなりの」
 こう英雄に話した、その者のことを。
「その様です」
「ではその遊び人とだな」
「これから会いましょう」
「ではな、今は朝だ」
 時間から考えて言う英雄だった。
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