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レーヴァティン
第四十四話 琵琶湖その八
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「お金の方は」
「これでいいか」
 英雄はその婆に平然とした顔で大判、魔物達を倒した中で手に入れたその中のほんの数枚を出して問うた。
「金は」
「大判をそれだけ」
「足りないか」
「いえいえ、充分過ぎる程です」
「ならこの金であの女達を一晩、そして馳走に酒に風呂もだ」
「全てですね」
「用意してくれ」
 こう婆に言った。
「足りないなら幾らでも出す」
「いえいえ、それだけ用意してもです」
 馳走に酒も風呂もとだ、驚いた顔のまま返す婆だった。
「それだけあればおつりがきますよ」
「そうなのか」
「はい、では」
「つりはいらん、その太夫を三人だ」
「一晩ですか」
「相手をしてもらう、ではな」
「それでは」
 英雄は早速店の徳上の部屋に案内されて馳走も酒も出された、そして三人の太夫達が彼の前に来た。続いて芸人達も来てだった。
 賑やかな音楽と舞が披露されその中で酒と馳走を楽しみ。
 花魁や芸人達にも食わせ飲ませた、それに太鼓持ちは仰天して英雄に問うた。
「もしお侍さん」
「何だ」
 英雄は酒を大きな杯で悠然と飲みつつ応えた。
「酒や馳走が足りないか」
「とんでもない、多過ぎるのです」
「そうなのか」
「わし等にも。お侍さんは一体何者ですか」
「ただ旅の中で仲間を探して途中魔物を倒しているだけだ」
「それだけですか」
「途中巨人も何度か倒しているとだ」
 それでというのだ。
「これ位何でもなくなった」
「巨人まで、ですか」
「そうだ、何度も倒してきた」
「それは凄いですね」
「言っておくが嘘ではない」
 太鼓持ちがまさかという顔になったのを見ての言葉だ。
「実際にここまでの金を出したな」
「それは確かに」
「巨人位は何でもない、そして金もだ」
「普通にですか」
「出せる、何ならこの百倍も出すが」
 それだけ出しても英雄には何でもない、そしてこれは共に旅をする他の面々にとっても同じことである。
「それで遊ぶが」
「滅相もない、今夜は最高のおもてなしをしますので」
 この店のそれを行うというのだ。
「是非お楽しみ下さい」
「ではな、それでだが」
「はい、何でしょうか」
「女のことだが」
 自分の周りにいる太夫達を見回しての言葉だ。
「三人共この店で最高の女達だな」
「左様です、花の花です」
 太鼓持ちもその通りだと答える。
「何もかもがです」
「そうか、ではだ」
「楽しまれますか」
「実はこうした遊びはしたことがない」
 杯の中の酒を飲む、よく見れば悠然としておらず所謂大尽の飲み方とは違う。
「だから疎いが」
「ではそういうことはです」
「わっち等がさせてもらうでありんす」
「ですからお侍様は委ねられてもらうでありんす」
「そうしてもらう
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