九つの星
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姿を、嘲笑うようにして見下している者がいた。
「あ〜あ、あんなに怒って・・・こりゃ俺まで辿り着けないかな?」
黒装束に身を包んでいるティオスはスティングやグラシアンの必死な様を見て呆れているようだった。だが、しばらく笑っていると、彼の唯一見えている口元がキツく締まる。
「本当に無意味だよな、あんな我武者羅になっちゃって・・・」
突如不機嫌になったティオスは立ち上がると、これまで自分が見ていた方向へと歩いていく。
「なんだ?もう行くのか?」
その後ろ姿に声をかけた緋色の髪をした女性。それにティオスは立ち止まると、振り返って答える。
「お前も動いた方がいいんじゃないか?どうせ大した活躍もできんだろうが」
「っ!!」
その言葉に苛立ったアイリーンは杖を構えようとしたが、思い止まった。自分の力では彼に勝つことなど不可能なのは、よくわかっている。
「ゴッドセレナもブラッドマンも動いてる。お前も気が向いたら来ることだな」
そう言い残して立ち去ってしまうティオス。アイリーンはその後ろ姿を鋭い眼差しで見届けている。
「大丈夫ですかぁ?アイリーン様」
明らかに取り乱している彼女に声をかけたのは、全身白のスカートのついたコートを着ている、オレンジ髪のツインテールの少女。その横には両サイドが網になっている黒いタイツを着た少女が、これまた心配そうに立っていた。
「お体が優れないのですか?」
キツい目付きとは対照的に柔らかな物腰で話しかけてくる少女に思わずアイリーンは笑みを浮かべる。彼女は自らを落ち着けるように空を見上げた。
「霊峰ゾニア・・・この地はかつて黒き天女と白き天女が争った地。白き天女が勝利しこの山々には永遠に白い雪が降り続ける」
「よくこんな国の昔話なんか知ってますね、アイリーン様ぁ」
「バカ!!アイリーン様はイシュガル出身なんだぞ!!」
彼女が元に戻ったことで安堵したジュリエットとハイネはそんなことを放し始める。すると、それまで笑顔だったアイリーンが無表情になってしまった。
「あっれぇ!?それって触れてよかったのぉ?」
「あ・・・いえ・・・!!これは・・・」
何か事情があるのか、取り乱した様子のハイネとそれを楽しそうに見ているジュリエット。そのやり取りを見たかったのか、アイリーンの顔に笑みが戻った。
「白き天女と黒き天女・・・あなたたちみたいだわ」
「私黒とったぁー!!」
「どう見てもお前が白だろ!!バカ!!」
すっかりお楽しみモードのジュリエットとそれに突っ込むハイネ。アイリーンは二人を見つめると、真顔でとんでもないことを言い出した。
「あなたたちが争ったら・・・勝つのはどちらかしら?」
その瞬間、彼女たちの体はビクリと震えた
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