九つの星
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
放たれた黒い冷気がアルバレスのマークが入った服を着ている男に向かっていく。天海はそれを難なく払うと、地面を蹴り、レオンの目の前へと現れた。
「フッ」
「グッ!!」
低い姿勢から少年の土手腹を撃ち抜く。打ち上げられた少年にさらに追撃しようとしたが、自分を狙う少年の気配を感じてすぐさま下がる。
「水竜の鉄拳!!」
間一髪で回避した天海。シリルは一度空振りに終わったが、なんとか踏ん張り再度彼に向かっていく。
「水竜の鉤爪!!」
ジャンプして体を一回転させながら蹴りを放つ。真上から落とされたことにより威力は十分なはずだったが・・・
ガシッ
天海はそれを見事にキャッチしてみせた。
「やはり力は劣るな、水竜」
残念そうにそう呟いてシリルを投げ捨てる。少年は地面を擦りながら転がっていた。
「クソッ!!」
ようやく止まった彼はすぐさま立ち上がる。が、力の差が大きいこともあり、自分では入っていくタイミングを見い出せない。
「大丈夫か!?シリル!!」
そこにやってきたのは二人の造形魔導士。彼らはアルバレスの軍隊の人数が削られてきたこともあり、苦戦を強いられていた少年たちの助っ人に来たようだ。
「氷神・・・氷結!!」
その間にもレオンは次から次へと技を繰り出し天海に何とかダメージを与えようと奮闘している。しかし、脅威的な速度を持っているはずの少年でさえ、敵のガードを崩すことができない。
「いいぞ、もっと上げてこい」
「っ!!」
諦めることなくひたすらに向かってくる少年を見て笑みを浮かべている青年。それを最も間近で見ていた彼は、苛立ちで奥歯を噛み締めた。
「言われなくてもやってやらぁ!!」
今まで見せたことがないほど取り乱しているレオンは、まるで人が変わったかのように激しく攻撃を繰り返していく。
「なんだ?あいつ」
「あんなに怒っているレオンは見たことがない」
感情を表に出さない少年の鬼気迫る表情に違和感を抱いているのはシリルだけではない。グレイもリオンも、何かがおかしいと感じていた。
「何を焦ってるの?レオン」
厳しい剣幕で挑み続ける少年の姿に事情を知らないものたちは唖然としていることしかできない。ただ、天海は彼が向かってくる理由を理解していたのか、それを煽るように耳元で囁いた。
「お前を倒せば、次はあのガキを殺してやろう」
それによりさらにレオンの血圧が上がっていく。目にも止まらぬ早さで技を繰り出し続ける彼は、神と言うよりも悪魔に近いものだった。
北方の山岳地帯。そこではアルバレス軍を怒りの剣幕で蹴散らしていく魔導士たちの
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ