九つの星
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人気のない平野を急ぐ素振りも見せず歩いていく二人の人物。一人は白い髭と髪を揺らし、もう一人は黒い髪をなびかせながら歩を進めていた。
「ジェイン、着いたかしら」
「そろそろ・・・だと思うがな」
四天王を早々に破ったリュシーとオーガストは、先に妖精の尻尾へと向かったジェイコブのことを心配しつつ、足を進めていた。
「他は大丈夫かな?」
「奴等は問題ない。陛下のお眼鏡にかかった者たちなのだから」
「そう・・・ね」
人を殺めてしまったことで精神的にダメージを受けているリュシーは元気がない。オーガストは彼女のことを心配してはいたが、何と声をかければいいのかわからず、放置していることしかできなかった。
「はぁ、やっぱ広いわね、イシュガルは」
そこから離れた上空を飛んでいるのは銀髪の少女を持って自らの持ち場を後にした堕天使。捉えられた少女はいまだに意識が戻っておらず、自分がどこに連れられていくのか知らぬまま空を飛び続けていた。
「うおおおおっ!!」
「はぁっ!!」
しんしんと雪が降り積もる中、スティングを中心とした剣咬の虎と青い天馬の連合軍は敵の大軍の中へと飛び込んでいた。
「どうだ?グラシアン」
「・・・」
彼らは敵によって頭と体を引き剥がされた四つ首の番犬のメンバーを救いだし、せめて頭と体を同じ場所に埋めてやろうと考えていたのだが・・・
「・・・ダメだ。やっぱり足りない」
ほとんどの死体を救い出したのに、どうやっても数が合わない。四つ首の番犬の人数とも、体と頭の数も。
「奴等の目的は妖精の心臓だけでなく、イシュガルの殲滅も掲げているらしい」
「それでここまでの行動をできるわけか」
その場にいたミネルバとグラシアンは立ち上がると、仲間たちが戦う先を見据える。二人の目には、傷だらけで戦っている戦友の姿がはっきりと映っていた。
「これ以上の犠牲者を出さぬためには、早期決着が必要だのぅ」
「そのための秘策なら、あると言っただろ?」
そう言ってナイトメアドライブを発動するグラシアン。彼は先に行っている仲間たちと共に、敵の首を狩りに乗り出した。
「その秘策・・・本当に大丈夫なのか?」
だが、その青年の姿を見たミネルバは浮かない顔だった。女の勘といったところだろうか、心の中で嫌な予感がひっきりなしに起きているのだった。
「氷神の怒号!!」
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