〜高校生組〜 妹達を追って
第8羽 覚醒、甘兎看板娘
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ー今、追ってくる鬼から逃れるため三人は、もと来た道を一心不乱に引き返していたー
「リゼちゃん!今こそその銃を役に立てる時だよ!」
「リリ、リゼ先輩お願いします!」
「無茶言うな、これはモデルガンだ馬鹿ー!」
「ひいっ!」「「うわっ!」」
「ごご、ごめんうさぎが…」
先頭を走っていたシャロが突然立ち止まり、後ろの二人がその背中に衝突して倒れてしまう。
遂に追いついてきた鬼がその大きな拳を振り上げー
「千夜月!」
ここからはよくある展開。振り下ろされた拳が三人に届くことはなく、出現した一枚の透明な壁によってその行方を阻まれる。どこかで聞いたことのある名前。それは千夜が自分の羊羹に付けた名前。
そして、三人の前に現れていたのも千夜だった。
「大丈夫?」千夜が三人に聞く。
「一体何してたの?こんなところにいたら危ないわ」
「あんたを探しに来たんじゃないのよーー!」わっ、と叫ぶシャロ。
あらあらごめんなさい、と嬉しそうに笑う千夜。
「あれ倒しちゃうからちょっと待っててね」
そういった千夜は三人に背を向け、鬼に右手の平を向け、
「フローズン・エバーグリーン!」
吹き荒れる吹雪を受け、鬼は黒いもやとなって消滅する。
「千夜あなたすごいじゃない!」
「そうかしら?」
こちらを向いて嬉しそうに笑う千夜。
「千夜ちゃんがプリキュアに…!?」
「んー、プリキュアではないと思うわ」
「でも合流出来てよかったよ。甘兎で正解だったみたいだな」
「でもよくあの化け物から逃げきれたね」
「あれは足だけは妙に速かったからなー」
「ええ、あの時はもうダメかと思ったわ。でもあのお化け、壁に突っ込んでばかりで私に全然ぶつかってこないの」
「やっぱり持ち前の回避能力が生きたのね」
和やかな雰囲気の四人。
「さて」ひとしきり話したところでリゼが切り出す。
「ここからはどう動けばいいんだ?」
「「「「…」」」」
四人は一斉に口を閉ざした。
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