第101話 九尾
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ある地点で目撃したのは科学者二名、学生二名、元置き去り三名だった。
病院に用意してある談話室のような開けた場所に白井と案内してきた初春がガラス戸を開けて入ってきた。
消毒液が行き届いた清潔な空間に機能を取り戻したばかりの自動販売機が電力復旧によりスポーツ飲料や炭酸を冷やしている目の前で木山とテレスティーナがパソコンをネットワークに繋いで作業に集中している。
「来たわね」
「この子が来ないと話ができないとはどういう事でしょうかね?」
「知らないわよ。必要なイベントかしらね」
畜生道と地獄道が椅子に腰かけながらテーブルに置かれたポッキーの袋から一本取り出してポリポリと食べながら斜めに見上げて客人を迎えた。
「……これは一体どういう事ですの?」
「あれあれ?」
初春がキョロキョロと首を傾げながら足らないピースを探すように見渡して、ごみ箱の中まで漁りにいく。
状況からいきなりサソリのお父さんがいるというのはおかしいと思ったけど、病院着の乱れを直し身だしなみに気を付けて、横になっている事で多少跳ねた髪を水で真っすぐにして、念のためブレスケアも(なぜ?)
その気合も虚しく居るのはいつものメンツに眼がおかしい奇妙なメンツだけで露骨に肩を落として盛大な溜息を吐き出す。
初春の説明から色々とツッコミどころ満載だったが
「まあまあポッキーでもどうぞ〜」
「この状況でポッキーを優雅になって食べられませんわ」
「ふぅ……とりあえず出してみたらどうだ?」
「はーい」
人間道がフードの中に手を掛けるとビニールのようなものを引きずり出して空中に浮かべた。それは赤い髪をした限りなく人間に近い半透明な人形のように見えた。
「!?」
笑顔を忘れたように口だけが妙に吊り上がり可動域を伸ばすためのライン取りと「おかえり」と発するためではなく攻撃を加えるための口と直角に伸びた線が印象的な半透明の姿の赤い髪をした細面の男性の人形が浮いていた。
ゆったりとした黒い装束は身を守るためではなく武器を隠すためにのものだろうか。
白井は思わず一歩後退した。人間のようで人間とは程遠い存在の出現に呼吸をするのも忘れる。
親というよりは兵器に近いものだろうか。
そんな事を考えていると男性の人形は片腕を軋ませながら白井を一瞥すると指先から光るチャクラの糸を数十本伸ばしてくっつけた。
「息子ガ世話ニナッタヨウダ……礼ヲ言ウ。君ノ名前ハ?」
「……白井……黒子ですわ」
周囲を確認し、敵意がないと判断した白井は様子見で自身の名前を口に出した。サソリの家族については謎が多く、現れた親として人間としての枠から外れている目の前の人物がこの先の展開についての重要なキーを握っていると勘が働いたからだ。
元々、あの変人サソリを生み出した考えればこのくらいは許容範囲で想
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