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儚き想い、されど永遠の想い
433部分:第三十三話 鈴虫その九
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第三十三話 鈴虫その九

「他のことは大丈夫ですね」
「顔色もですね」
「はい、まだ大丈夫です」
 春まではだというのだ。
「そうですね。大丈夫です」
「そうですか」
「今の吐血は忘れましょう」
 気を取りなおす為にだ。あえてだというのだ。
「そうしましょう」
「そうですか。では今は」
「林檎を食べませんか」
 林檎だった。今彼が言うのは。
「それはどうでしょうか」
「林檎ですか」
「林檎のお菓子に林檎の紅茶です」
「西洋のものでしょうか」
 紅茶と聞いてだ。真理はそう思ったのだ。
 そして実際にだ。義正もこう述べる。
「はい、そうです」
「やはりですか」
「それで如何でしょうか」
「それで西洋のどの国のものでしょうか」
「欧州ではありません」
 まずは地域だった。そこではないというのだ。
「亜米利加です」
「亜米利加の食べものですか」
「それはあまり御聞きになったことがありませんか」
「亜米利加という国のことは聞いています」
 真理もだ。亜米利加についてはよく聞いていた。既に交流は深い。 
 しかしそれでもだった。亜米利加の料理というとなのだった。これがだ。
「ですがお料理については」
「そうですね。あまり聞きませんね」
「それでもそのお菓子と紅茶はですか」
「亜米利加では林檎を非常によく食べます」
 それこそ日本とは比較にならない位にだ。亜米利加人の林檎好きはこの時代からあったのだ。それはただそのまま食べるだけではなかったのだ。
 それでだ。義正も今その二つを紹介するのだった。
「パイや紅茶にしてです」
「パイですか」
「そうです。アップルパイとアップルティーです」
 具体的にはこうした料理だった。
「その二つですが」
「わかりました。では」106
 真理は既に気を取り直していた。それでだ。
 すぐに笑みになりだ。義正に答えたのである。
「その二つを」
「食べに行きましょう」
「秋。亜米利加の秋ですか」
「それもまたです」
「楽しむのですね」
「そのうえで冬に向かいましょう」
 そのだ。冬にだというのだ。
「そうされますね」
「ではその様に」
 こう話してだった。屋敷に戻りだ。義正が事前に言って作らせていたそのアップルパイとアップルティーを食べる。その味はというと。
 甘くそれでいて酸っぱさもある。それを食べてだ。
 真理は今回もだ。微笑んで言うのだった。
「はじめて食べましたが」
「それでもですね」
「気に入りました」
 そうだというのだった。
「何かこうしていつも美味しいものを紹介してもらいますが」
「花やそうしたものの後で」
「それがまた」
 いいというのである。
「心も癒してくれます」
「そうですね。美味しいも
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