暁 〜小説投稿サイト〜
万華鏡の連鎖
銀河動乱
波瀾の種子
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すまん、厄介事なんだ。
 申し訳ないが、内密に話したい。
 人手が要るなら、応援を寄越させる」
 ムーア提督の雷から緊急避難は幕僚チーム、全員が望む所だ。
 お気に入りの副官と艦長に難題を押し付け、移乗の確率は高い。

 ペルガモン艦橋に連絡すると、期待は裏切られなかった。
 権限を委譲の通信も流れ、分艦隊指揮官達が態勢を整える。
 不満な表情の幕僚に後を託し、数分後に艦橋を離れた。
 ヤン准将と個室に着き、動画再生後に情報を補う。

「厄介事は越権行為だけじゃない、出撃の前に妙な情報が届いた。
 面倒な話だが、聞いてくれ。
 古代地球史にも触れる、ヤン以外の者には理解が難しいだろう。

 出所不詳の連絡、伝言は地球教の脱会者が自殺する直前に送ったらしい。

 フェザーン自治領の創設者が地球出身の商人、レオポルド・ラープだって事は知ってるな?
 帝国領の地球に権力、富は無い。
 天文学的な賄賂の資金源は謎に包まれているが、同盟市民から搾取していたんだ。

 地球教は数千年に及ぶ歴史、精神制御(サイコ・コントロール)の技術を持っている。
 ダゴン星域会戦の後、宇宙暦640年代中頃の帝国領逃亡者に信徒が紛れ込んだ。
 人類発祥の惑星に対する恩義を説き、洗脳して資金源とする為に。
 常識を無視した献金、負債の為に無数の信者が消息を絶った。

 古代地球史上、宗教組織が権力者と組んだ事例は数え切れない。
 権力者と組み摘発、報道を押し潰す術の蓄積も想像を絶する。
 1万年を優に超える間に繰り返された試行錯誤、研鑽が後ろ盾だからな。
 信者の献納する権利、《自由意思》と《志》を強調して負けた裁判は無い。
 150年の時を費やした長期計画で浸蝕は進み、最高評議会議員も過半数が操られている。

 国防委員長の権勢欲も煽り、使い勝手の良い傀儡と認識している様だ。
 秘密裏に軍需産業との癒着、マス・メディア言論統制が進んでいる。
 民主主義の理念、博愛の精神を蝕む輩の理論武装は鉄壁だ。
 自由惑星同盟は事実上、地球教の搾取地と化している」

「ラップ、ちょっと待った。
 何と言えば良いか、手に余るな。
 地球教の信者に確認、調査は無意味だろうね。
 国防委員長、いや、シトレ元帥に話してみるか。
 他に誰か話して、感触を探ってみたのか?」
「流石、ヤンだ、話が早いな。
 信じて貰えないだろうから、まだ誰にも話してない」

「ジェシカも?」
「当然だ、こんな危ない話、聞かせられるか!
 彼女の性格、知ってるだろ?」



「提督、御配慮に感謝致します。
 第二艦隊の臨時指揮官と協議も問題は無く、無事に終えて参りました。
 詳細な報告に移る前に、謝罪致します。
 誠に、申し
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