銀河動乱
波瀾の種子
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帝国軍本隊中央部、後部の態勢が崩れた。
後背を第二艦隊、左側面を第六艦隊が襲う。
ファーレンハイト少将に避けられ、遊兵となりかけた失態は償った。
反転を命じた第四集団指揮官、エルラッハ少将の訃報が届く。
フォーゲル中将指揮の第三集団、数千隻の邀撃も鈍い。
旗艦が連絡を絶ち、艦長の判断で散開が進む。
「第二艦隊を援護する、10時の方角に湾曲軌道を維持。
奇襲した敵に直接、借りを返す!」
再び、声が響いた。
「メルカッツ、離れろ。
3割強の敵は葬った、帰還する。
ファーレンハイト、攻撃中断。
消耗戦に陥る愚を犯すな、戦略的意義は無い」
帝国軍本隊の前衛、数千隻が速度を落とす。
別動隊も第二艦隊と離れ、付け入る隙を見せない。
数分後、勇戦を称える通信が届いた。
宛先は第二艦隊臨時指揮官ヤン准将、第六艦隊臨時指揮官ラップ少佐。
返信の誘惑に耐え、背後を振り返る。
「艦長、ありがとうございます。
提督への説明は僭越ながら、小官にお任せください。
事後処置も考えてあります、心配は要りません。
艦橋の監視カメラ記録映像、動画複製を願います」
ペルガモン艦長の瞳が泳ぎ、幕僚の視線と絡む。
「小官は第二艦隊指揮官代行、ヤン准将と懇意にしております。
ムーア提督の声望を維持する為には、直接面談せねばなりません。
宜しければ連絡艇で旗艦に赴き、調整して参ります。
同期の誼、口裏を合わせて貰えるでありましょう」
自己保身、打算の表情が覗く。
「君、伝言を撮影して貰いたい。
他の者には頼めん、提督の雷が落ちる」
イエスマン気質の副官、年若い幕僚の表情が歪む。
拒否したくない筈は無いが、後が怖い。
幕僚チ−ム全員を敵に廻せば、出世の道は確実に断たれる。
視線を避け、不平不満が満載の顔で頷いた。
「ムーア提督の声望が損なわれぬ様、万全の策を考えてあります。
小官に御任せ戴ければ、更に昇進の機会が得られるでしょう。
名誉が傷付く事はありませんし、今後も第六艦隊を指揮していただけます。
ヤン准将と協議の時間が長引くかもしれませんが、心配は要りません。
ペルガモン艦橋に緘口令を敷き、情報漏洩に御留意を願えれば幸いです」
片手を挙げ、敬礼。
「以上だ。
何か、質問は?」
引き攣った表情の幕僚チーム、全員が無言を貫いた。
「後は頼む、提督に宜しくな」
麻痺銃標準装備の皆に背を向け、歩き出す。
発射音は無く、ペルガモン艦橋の扉が開じた。
数分後に第二艦隊の旗艦、パトロクロス艦橋の扉が開く。
「ラップ、良く来てくれた。
猫の手も借りたい、助かるよ」
「ヤン、
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