黒星団-ブラックスターズ-part6/Believe it or not?
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身を震わせるサイトをはじめとした彼らの姿に、シュウは自分もこの場にいた身でありながら、残念な結果をもたらしたことを痛感し、ぎゅっと手を握る。これでは、舞踏会のためのーコーヒーを提供するどころの話ではなくなりつつある。それに目の前で起きた事件を前に、自分は止めることができたはずだと言うのに、
――――結局また、何も成せなかった
頭の中で声が響く。つい自然と頭の中に、自身に対する侮蔑や失望の言葉を並べてしまうのは、未だに過去の経験からの無力感ゆえだろうか。
テファもそんな彼の顔を見て、シュウが胸中に抱く環状を読み取って憂い顔を浮かべる。さらにマチルダはそんな彼女とシュウを見て、ふぅっと鼻でため息を漏らす。また自責の念でも抱いてるのだろう。自分にはどうにかできたかもしれないのに、それを成せなかったのだと。だが、目に余るほどの行動に移しているわけではないし、実際に自惚れたことを口に出して言ってるわけではない以上、いちいち反応が気になるからと言って過敏に反応するわけにもいかない。
マチルダは、サイトによってくしゃくしゃで水に濡れ切ったブラックたちの置手紙を拾い上げる。自分も以前盗賊だった頃はこうして、貴族に対する挑発の念を入れた領収証の名を借りた置手紙を置いていった。こんなところまで自分に似せてくるとは、こうしてされる側になると、悪意ある物まね芸をされたかのようで中々頭にくるものだ。
「…?」
ふと、マチルダは水に濡れたブラックの置手紙を見て、あるものを目にした。ブラックの置手紙の、大部分を濡らしている範囲の文章に、変化があったことに気づいたのである。
「ちょっとみんな!これを見て」
マチルダが一斉にこの場にいる全員に呼びかける。一体何を見たのか確かめようと、テーブルに置かれている濡れたブラックの置手紙に注目する。
ブラックの置手紙にだが、濡れた箇所を中心にうっすらと、文字が浮かび上がったのだ。
「文字が…!」
あの挑発めいた文面とは別の文章が浮かび上がったことに、一同の多くが目を丸くする。
「濡れると文字が浮かぶ仕掛けを仕込んでいたとはな」
シュウも置き手紙に浮き上がった文字を見つめながらそう呟く。こうまでしてでも、自分たちに何かを伝えようとしているのだろうか。
「でも、字が汚くて読みにくいですね。まるで慣れない異国語でも書いてるみたいです」
シエスタの言う通り、浮き出た時はいかにも不慣れな筆運びだったのか綺麗な字とは言えなかった。おかげで読み上げるのも少し苦労しそうだ。
「俺にはそもそも読めないや…なんて書いてあるんですか?」
サイトはまだこの世界の文字は学習していなかったため一文字も読めなかった。ここにルイズがいたら「ちゃんと学習しないさいよね。ご主人様である私が恥ずかしいんだから」と言って咎めてきただろう。でも
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