ペルソナ3
1984話
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「何で俺はここにいるんだろうな」
目の前の光景を見て、しみじみと呟く。
数日前にゆかりと来たばかりの場所……そう、映画祭り。
その映画祭りをやっている映画館の前で、現在俺は人を待っていた。
誰を待っているのかと言えば……
「うおっ、いい女。なぁ、あの女に声を掛けようぜ」
「馬鹿、あんな女がナンパに引っ掛かる訳ないだろ。どうせ断られるっての」
少し離れた場所からそんな声が聞こえてきて、それを話している男達に視線を向け……続いて、その男達が見ている方に視線を向ける。
そこにいたのは、私服姿の美鶴。
いつもの制服でもなく、この前の夏祭りの時のように浴衣を着ている訳でもない。
動きやすさを重視してか、パンツスーツを着ているのだが……その大人びた顔と着ている服の関係から、どう見ても社長秘書とかにしか見えない美鶴がそこにいた。
今の美鶴を見て高校生だと思えと言われても……うん、多分無理だろうな。
その美鶴が、俺の方を見ると笑みを浮かべて近づいてくる。
そうなれば当然この周辺にいて美鶴に見惚れていた者達の視線も俺に向けられる訳で……男からは、場合によっては女からも嫉妬の視線を向けられる。
「すまない、アクセル。待たせたか?」
「いや、俺も今来たところだよ」
うん? これって、ゆかりに言われたデートの時の台詞じゃないか?
一瞬そう思ったが、まぁ、俺達自身がどう思ってるのかはともかくとして、俺と美鶴のことを知らない奴が見れば、デートに見えない事もない。
「それで、何の映画を見るんだ?」
「ふむ、そうだな。……このSF映画はどうだろう? 悪の帝国を相手に、気を使う特殊能力者がビームサーベルを使って戦いを挑むという作品なんだが」
「あー……ちょっと前にTVで見た。確か、前作で主人公の父親が敵に洗脳されて出て来た奴だよな」
「うむ。実はこの作品に出てくる1人と少し前にパーティで会うことがあってな。自信作だから、是非見て欲しいと言われたのだ」
「へぇ」
この辺り、さすが世界の桐条グループといったところか。
この作品は世界的に人気のある作品で、それだけに出演している俳優も一流の俳優が多い。
そういう人物とあっさり会うというのは、その辺のちょっとした金持ちで出来る事ではない。
まぁ、特殊なコネとかがあれば、可能かもしれないが。
「そうか。なら、それを見るか」
特に何か見たい映画があった訳ではない俺は、美鶴の言葉にそう返す。
……少し不安なのは、これから見るのがいわゆる続き物だという事だ。
前作を見ていない以上、内容に分からないところが出てくる可能性がある。
もっとも、映画は基本的にその作品だけで意味が分かるようになっているので、本当の意味で理解出来な
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