4 どうせ嘘をつくなら、最後まで。
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支度ができたので、屏風から出て、晋助にお披露目する。事務作業がなんだか忙しそうだが、ここは一つ、見てもらわねば。
_「晋助、見て見て!中々似合ってない?」
事務書類から目を離して、私を一目見ると、似合うじゃねェか、とだけ言った。なので、そりゃどうも、とだけ言うことにした。時計を見ると、待ち合わせ15分前である。
_「じゃ、晋助。私そろそろ行かなきゃだから。お仕事頑張ってね。」
と言うと、晋助はよっこやせ、と机から立ち上がり、私を後ろから抱き締めた。
_「しばらくは寂しい思いをしそうだ。」
土壇場になって、こんなこと言う晋助も中々可愛いものである。
ついからかってしまいたくなるのを必死でこらえて、言葉を紡ぐ。
_「晋助、大丈夫よ。ここから地球へは、どのくらいかかるかしら?」
抱き締める腕の力が強まって、返事が帰ってくる。
_「1日くらいだろうなァ。」
抱き締められている腕に、手を重ねる。
_「ちゃんとLINEするから。ね?」
渋々離してくれた。
達者でな、のドアの前まで送ってくれた。そういうところは紳士なのになァ…。
時計を見ると、集合5分前になっていた。急がねば。
第三ゲート(通称:ターミナル)を目指して走ると、ゲートの前に夜兎の皆様が揃っていた。唯一、神威を除いて。一応皆に声をかける。
_「皆様、お待たせ致しました。あら、神威殿はどちらにおいでで?まだなのですか?」
_「零杏様、オレ…いや私は第七師団の云業と言う者です。どうぞ、よろしくお願いします。団長はまだおいでではありません。」
_「そうだったのですか。てっきりもう揃っているか、と思っておりましたもので。」
周りを見ていた阿伏兎が声をあげる。
_「あ、団長が来たぜ。ったーく、あのスットコドッコイ!」
阿伏兎の視線の先に目をやると、あの神威がご丁寧に抹茶ラテを持って、こちらに向かってきていた。一瞬、普通ではありえない光景に絶句した。
_「あァ〜、お待たせ〜。さて、行こうか。あ、ハイこれ、零杏。」
と、抹茶ラテを渡される。
ありがとう、と受け取った。
_「どうせ、地球へ行くまでには1日くらいかかるから、ゆっくりしててネ。」
と案内されたのは、いつもの大きな春雨の船ではなく、ふたまわりほど規模の小さい船だった。とは言っても、大きさ的には鬼兵隊の船と対して変わらない感じである。
とりあえず指定された席に座って、ラテをいただくことにしたが、案の定睡眠薬と、何か怪しげな薬の臭いがしたので、飲むふりをして1滴だけ舐めた。やはり、感覚は正しかった。
まさか神威のやつ、私を眠らせた
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