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万華鏡の連鎖
銀河動乱
第六艦隊
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ない。
 全火器、照準変更、措定範囲外掃射禁止。
 右側の艦は第六艦隊の後方、敵の別動隊を連射。
 左側は戦術コンピューター、C4回路の指示通り。
 我が軍が勝つ、約3倍の艦を擁しているのだから」
 ヤン准将の声が艦橋に響き、全艦長に届く。

 小型艇の襲撃は唐突に途絶えた。
「メルカッツ、一撃離脱(ヒット・アンド・アウェイ)だ。
 敵を邀撃の後、ファーレンハイトと連携せよ」
「了解しました、閣下。
 攻撃中止、戦闘艇も後退」

 ワルキューレ群も翼を翻し、迎撃の態勢が整う。
 帝国軍本隊は旋回、右側に弧を描く。
 艦の衝突、接触は無い。
 前衛の数千隻は見事な機動を見せ、攻勢に転じた。
 1万隻を超える後続の動き、方向転換は鈍い。
 単縦陣に間隙が生じ、戦術コンピューター表示盤も変わる。
 矢印4個が前衛、第二集団、第三集団、後尾を示す。


「1時の方角に転針、上下角プラス15度。
 正面突破、敵を衝き崩す!」
 ヤン准将の構想、戦術案を崩した責任は負う。
 第六艦隊が盾となり、第二艦隊の後背を護る。

「ファーレンハイト、左下方転針。
 浅い湾曲軌道(カーブ)を描き、敵の後背を衝け!
 メルカッツ、更に後退。
 逆側の敵を誘い、拘束を図れ」
 再び、声が響く。
 的確な指示の上、反応が早い。

 帝国軍の勇将、宿将は期待に応えた。
 前者は見事な肩透し、回避術で第六艦隊の強襲を外す。
 速度も落とさず、数秒で射程距離の外に抜ける。
 後者は第二艦隊の機動、ヤン准将の戦術案を敷衍して見せた。
 左右迂回後に戦闘艇が後背を衝き、心理的動揺を誘う。
 巡航艦と戦艦は転針、逆側の艦数千隻に合流を阻む。

「左旋回、10時の方角に転針!
 上下角マイナス15度、左側面攻撃!!」
 双璧の批評から推察するに、ラインハルト直属の艦は極少数。
 門閥貴族の意趣を映し、扱い難い艦隊指揮官5名が押し付けられた。
 各々数千隻の第二集団、第三集団、後尾は機動が鈍い。
 シュターデン中将、フォーゲル中将、エルラッハ少将の酷評と合致する。

 案の定、敵本隊後半数の態勢が崩れた。
 全速直進の第二集団、数千隻は速度を落とさず通り過ぎる。
 左横を衝かれた第三集団後部、第四集団全域は動揺を隠せない。
 自己保存衝動が優り、迎撃を選んだ。
 ラインハルトの指示に聞く耳を持たず、軌道を変える。
 恐慌(パニック)に陥った儘、撃ち捲った。
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