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万華鏡の連鎖
銀河動乱
第六艦隊
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「黙っておれ!」
 罵声が響き、反射的に掌が動いた。
 麻痺銃《パラライザー》を握り、安全装置を解除。
 ムーア提督が震え、引き攣った表情の儘で倒れる。
 続いて首席幕僚も撃ち、意識を奪う。

「ラップ少佐!
 この非常時に、何て事を!!」
 『ペルガモン』艦橋に漸く、声が響いた。
 振り向き、背後に佇む幕僚の群を眺める。
「黙って、第六艦隊の潰滅を見守る気か?
 手段を選んでいる余裕は無い、職責を果たせ」

 全員の瞳が泳ぎ、足許に視線を逸らす。
 互いに顔色を窺い、発言する者は無い。
 通信盤に駆け寄り、艦外通信のスイッチを押す。
 邪魔する者は無く、マイクが青緑(エメラルド)色に輝く。
 発声前に呼吸を整え、天井パネルを仰ぎ見る。
 広角モニター映像、光の脈動が現実を映す。
 戦術コンピュータ演算結果投影図、簡易モデル表示盤は更に単純。
 右後背の敵が艦隊を蹂躙、恐慌状態(パニック)に陥れつつある。

「全艦隊に告げる。
 提督は負傷、ラップ少佐に指揮を命じた。
 生還したい者は、深呼吸して精神を落ち着かせろ。
 私の指示に従う方が、生き残る確率は高い。

 全艦長は周囲味方艦の進行方向、速力差、距離を確認せよ。
 第六艦隊は時計回り、右旋回軌道で敵の後背を衝く。
 低速または損傷の艦は、発光信号器を明滅させろ。
 他の艦は衝突、接触を避け、1時の方角に転針。
 敵も急角度で転針、第六艦隊の頭を抑える確率が高い。
 戦闘艇は出すな、右砲戦用意!」

 艦外通信のスイッチを切り、振り返る。

「敵の指揮官は優秀だ、今の通信が傍受されない筈も無い。
 新たな()を選び、意表を突くだろう。
 次の一手を読まねばならん、私は観察に専念する。
 第四艦隊の連絡が絶えた後、8時間弱が既に経った。
 右旋回運動から直進に移り、第二艦隊と邂逅を試みる。
 敵の傍受を避ける為、短距離通信は軌道変更5秒前。
 提督の意識回復、指揮権返還は艦隊の潰滅を意味する。
 判断は貴官達に委ねる、首席幕僚にも気を配れ」

 予想通り、数千隻が動く。
 僅かに期待した衝突、接触の閃光は無い。
 指揮官は勇将、ファーレンハイト提督だろう。
 急激な軌道変更に耐え、第六艦隊の前を塞ぐ。
 ワルキューレ運用術の達人、メルカッツ提督の追撃も厳しい。
 単独で膠着状態に持ち込み、持久戦は無理だ。
 大胆な強襲、痛撃の連鎖を覆す勝算は無い。

「全艦に告ぐ、第二艦隊から連絡が届いた。
 真正面の敵を、背後から襲う。
 挟撃だ、直進せよ!」




「全砲門、解放射撃!
 正確な照準は要らん、撃ち捲れ!!」
 超光速通信は通じず、第二艦隊からの連絡も無い。
 此の儘では、
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