42部分:第四話 はじまりその六
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第四話 はじまりその六
「気にしないで下さい」
「わかりました。それにしても」
「何かありますか?」
「真理さんにお話したいことがあります」
麻実子はだ。こう彼女に話してきた。話題を変えてきたのだ。
「喜久子さんのことですけれど」
「喜久子さんですか」
「どう思われますか?そろそろだと思いますか?」
微笑んでだ。こう真理に話すのである。
「どう思われますか?」
「そろそろといいますと」
「ご結婚のことです」
麻実子は微笑んでだ。それだと話すのである。
「あの方もそろそろ。そうされてもいいですね」
「そうですね。お姉様達はもう結婚されていましたね」
「はい」
麻実子は笑顔になってだ。その通りだと頷くのだった。
「御二人共。幸せになられています」
「父に言われた言葉ですが」
ここでだ。真理はこう前置きしてだ。麻実子に対して話した。
「人は誰でも幸せになる権利があると」
「誰でもですか」
「はい、私もそう思います」
これが喜久子への言葉だ。そしてだ。
この言葉は喜久子に対するものだけではなかった。それは。
今目の前にいる麻実子にも。言うのであった。
「麻実子さんも」
「私もですか」
「誰でもですから」
にこりと微笑んでの言葉だった。
「如何ですか?それは」
「そうですね。私も」
そしてだ。麻実子も微笑んでだった。真理に対して述べた。
「近いうちに。どなたかと」
「ですね。考えられるといいと思います」
「それでしたら」
そしてだ。麻実子はだ。
自分から真理に対してだ。こう述べたのだった。
「それは真理さんもですね」
「私もですか」
「はい、真理さんもです」
穏やかな笑顔での言葉だった。
「幸せにならないといけませんね」
「そうですね。それは」
「ですから。考えられてはどうでしょうか」
善意による言葉だった。しかしだ。
真理は麻実子のその言葉にだ。顔を曇らせてしまった。
そしてそのうえでだ。こう言葉を返すのだった。
「ですがその相手が」
「相手が、ですか」
「許されない相手だとしたら」
こう言うのであった。
「仇の相手だとか」
「それですと」
麻実子はその話を受けてだ。あるものを思い出した。それは彼女がこの前読んだ英吉利の戯曲だった。それを思い出してである。
「シェークスピアですね」
「あの劇のですね」
「ロミオとジュリエットですね」
それだというのである。
「それになりますね」
「そうですね。言われてみれば」
「あの劇では。最後は」
麻実子もだ。その結末は知っていた。ロミオとジュリエットのその結末をだ。
「二人共。旅立ってしまいますね」
「そうですね」
暗い顔をしてだ。そのうえで述べた真
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