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儚き想い、されど永遠の想い
419部分:第三十二話 紅葉その九
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第三十二話 紅葉その九

「あれも秋の花ですし」
「蘭というと何処か西洋的な感じがしますね」
「あれは洋蘭ですね」
「普通の蘭とはまた違うのですか」
「はい、そしてその蘭をです」
 どうかというのだ。その蘭をだ。
「三人で。いつもの様に」
「見るのですね」
「そうしましょう」
 十月もだ。そうしようというのだ。
「それでどうでしょうか」
「はい、では今月も」
「行きましょう」
 義正は微笑みだ。そうしてだった。十月は三人で蘭を見に行くことにした。彼等が今度行ったのは植物園だった。神戸にあるだ。
 ガラスの温室の中に緑の熱帯の植物達がある。そこには。
 真理が見たことのない様々な形の植物達がある。色は日本のものよりも緑が濃くそこに変わった形の葉や蔦があり。そしてだった。
 罠の様な、牙にも見える葉もあった。その葉を見てだ。
 真理は怪訝な顔になりだ。今日も傍らにいる義正に尋ねた。
「この葉は」
「はい、ハエトリソウです」
「ハエトリソウというのですか」
「南の国にある草でして」
「草なのですか。これが」
「草には思えませんね」
「生きものに見えます」
 こう言うのだった。
「触ればそれで動く様な」
「実際にこの草は動きます」
「草が動くのですか」
「この葉に触れればです」
 両方から喰らいつかん様な形だった。まさに触れればそれでその口が開き獲物を喰らう様な。その葉を見ながらだ。義正は真理に話すのだった。
「もうそれで葉は動き」
「ハエトリソウですね」
 真理はここで名前を出した。その草の名前をだ。
「それでは蝿が葉に触れればですか」
「蝿ばかりではありませんが」
「捕まえそうしてですか」
「はい、中に入れて溶かして栄養にしてしまいます」
「そうした草もあったのですか」
 真理はいささか驚いた顔で義正に言った。
「おとぎ話に出て来る様な不思議な草ですね」
「我が国にはないものですね」
「はい、とても」
 そうだとだ。真理も答える。
「そうした草がこの世にあるとは」
「ですが実際にあります」
 義正もその草を見ながら説明していく。
「生きものを餌食とする花は」
「何か恐ろしいものに思えます」
「恐ろしいですか」
「形もそうですが植物が生きものを襲うことは」
「そうかも知れませんね。しかし南ではこうした草もあるのです」
 実際に今ここにあるようにだというのだ。
「そして虫を餌食とします」
「人は襲わないのですね」
「そうした花はありません」
 流石にそうした話はないというのだ。
「ですが虫はです」
「捕まえて餌食とする」
「その通りです。そしてこの草だけではありません」
「まだそうした草はあるのですか」
「食虫植物といいますが」
 ハエ
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