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儚き想い、されど永遠の想い
418部分:第三十二話 紅葉その八
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第三十二話 紅葉その八

「してはいけない。ましてやそれを煽る輩は」
「何かありますね」
「亜米利加について気になることを聞いたんだ」
「気になること?」
「うん、海軍や陸軍の。あちらに行った将校の人達が言ってたことだけれど」
 義正は後部座席で顔を曇らせて話す。
「最近あの国で我が国に対してその極論が高まっているらしいんだ」
「あっ、そういえば移民もですね」
「禁止されたね」
「あれはどうなのでしょうか」
「おかしいと思うよ」
 義正は難しい顔で亜米利加のその政策について述べた。
「排日移民法、日本人だけを差別するあの法案は」
「亜米利加は平等の国だったのでは?」
「それを否定するものじゃないかな」
 こうだ。義正も言った。
「まさかと思うけれど」
「そうですね。そう考えることが」
「妥当じゃないかな。断定はできないけれど」
「はい、そうですよね」
「おかしいね」
 また言う義正だった。
「そしてそうした日本への感情を煽っているのが」
「あちらの国の新聞ですか」
「ハーストだったかな」
 人名が出た。ここで。
「あちらの新聞。とはいっても質の悪い」
「質の悪い新聞といいますと」
「イエローペーパーというのかな。噂話や下世話な話を面白おかしく書いた新聞があるそうだよ」
「我が国にもそうした手の新聞はありますね」
「あるね。高尚な新聞じゃなくて」
 もっと言えば高尚を気取っている新聞だけでないということだった。
「そうした新聞を出しているんだけれど」
「そしてそのハーストが?」
「日本への反感を煽っているのですか」
「そうらしいんだ。軍人さん達の話では」
「新聞がそうしたことをしているのですか」
「うん、そうらしい」
 こうだ。そのハーストのことを義正は佐藤に話した。
「軍人さん達はそのハーストにかなり警戒を見せていたよ」
「そんな話ははじめて聞きました」
 運転しながらだ。こう答える佐藤だった。
「ハーストという名前もです」
「新聞では聞かない名前だね」
「はい、全く」
「僕も外務省の人からは聞いていないよ」
 彼にしてもだ。外務省からはだった。
「けれど。軍人さん達は言っていたんだ」
「亜米利加に留学したり駐在武官の方はですか」
「それで知ったけれど。若しそれが本当なら」
「ハーストこそがそれですね」
「うん、極論で煽っている輩だね」
 まさにそれだというのだ。そのハーストこそがだ。
「それが将来大変なことにならないといいけれど」
「ですね。確かに」
 こういう話をしながらだ。義正は屋敷に戻った。そうして屋敷に戻ると真理にだ。こう尋ねたのだった。
「今日は如何だったでしょうか」
「楽でした」
 微笑みだ。真理も答える。
「気持ちもよ
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