417部分:第三十二話 紅葉その七
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第三十二話 紅葉その七
「この社会を蝕むものではないでしょうか」
「社会を」
「はい、ひいては我が国をです」
言いながらだ。彼は言葉にある危惧を深くさせていく。
「そうしていくものではないでしょうか」
「随分怖い感じに言うね」
「彼等は情報を持っていますね」
佐藤は義正にさらに話していく。
「そして必要とあらばそれを書かないこともできます」
「事実を書かない」
「そして偽りを書くことができます」
「つまり読む人を思いのままに操れると」
「それが可能ではないかと思うのです」
危惧を覚えながらだ。佐藤は話すのだった。
「流石にそこまで邪悪な行動を取る輩は少ないでしょうが」
「そうだね。いるにしても僅かだろうね」
「ですがそうした輩がいれば」
「危険だね」
ここで義正もこう言った。
「やはりね」
「旦那様もそう思われますね」
「流石にそうした輩はそうはいないだろうけれど」
「はい、ですが」
「新聞は危険だね」
「我が国の道を誤らせかねませんね」
「そうだね」
義正も実際に言う。
「彼等の思う方向に僕達を誘うのなら」
「ええ。煽ることは容易です」
佐藤の言葉の危惧が強まっていた。
「彼等の思うように」
「あれだね。極端に過激な主張はだね」
「それこそが危険ですね」
「人は極論に惹かれるんだ」
このことをだ。彼は幸いにして知っていた。人生経験の中でだ。
「わかりやすいからね」
「明確な主張は人を動かしますね」
「何を書いているのかわからない主張は」
そうした主張をする者もいる。義正はそうした者についても言及した。
「何処か有り難がられるけれど」
「それを読む自分自身を聡明だと思わせて」
「けれどそうした意味は不明瞭な主張もまたね」
「よくありませんね」
「書くことや言うことは明瞭でなければならない」
理解しやすくというのだ。しかしそれと共にだった。
「けれど極端な主張はね」
「危険ですね」
「右から行っても左から行っても」
方向が全く違っていてもだというのだ。
「それでも行きつく先は一緒になるから」
「円の論理ですね」
「この世界は円なんだ。回っているものなんだ」
「だから右でも左でも極端に走れば」
「危険なものになるよ」
「そしてその極論は」
危険だった。義正も佐藤もそのことを話していく。
そしてその中でだ。義正はまた言うのだった。
「今のところそうした主張は殆ど見られないね」
「幸いなことに」
「うん。けれど将来はわからないね」
「ええ。その最たるものがあれですね」
「戦争だね」
義正はまた答えた。
「それになるね」
「そうですね。戦争をはじめとした極論を主張したり対立を煽ることは」
「あまりにも危険
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