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儚き想い、されど永遠の想い
412部分:第三十二話 紅葉その二

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第三十二話 紅葉その二

「そうなっていくよ」
「そしてその芸術をですか」
「百貨店に置いていくんだ。そして勿論ね」
「他の。衣服や日用品も」
「充実させよう。ただ」
「ただ?」
「地下にも品物を置きたいけれど」
 こうだ。義正は首を少し捻りながら話した。
「それは無理みたいだね」
「残念ですがそれは」
 できないとだ。義美も話す。
「夏に暑くなりますので」
「そうだね。どうしてもそれは」
「できそうにもありません」
「わかったよ」
 義正はここで頷いた。そうしてだ。
 妹にだ。こう言うのだった。
「地下も使えれば大きかったけれどね」
「そうですね。それはかなり」
「けれど出来ないのなら仕方ないよ」
 納得している言葉だった。
「それならね」
「はい。今は」
「これからはどうかな」
「これからは?」
「夏でも涼しい地下にできることができれば」
 その時はどうかというのだ。
「そう。氷が常にある様なね」
「暖房とは逆に」
「暖房ね。あれも凄い技術だよね」
「はい、確か独逸それを取り入れている城があるとか」
「ノイシュバンシュタイン城だね」
「奇麗な名前ですね」
「バイエルン王が築いた城だよ」
 義正は微笑んでこの王の名前を出した。
「知っているかな。バイエルン王は」
「はい、ルートヴィヒ二世ですね」
「森鴎外の小説でもあったけれど」
 うたかたの恋だ。ただしこの作品では王の同性愛については書かれていない。女性への愛ということになっている。そこが事実とは違う。
「あの人が築いた城だよ」
「その城には暖房がありますか」
「暖房は。確かに高価だけれど」
「まだ何とかなりますね」
「しかも百貨店は人がいつもいるから」
 その熱気で暖かくもある。だからそのことはあまり考えていなかった。
 それでだ。義正は冬についてはこう話した。
「冬の暖房は特にいいね」
「そうですね。確かに」
「うん、それはいいよ」
 こう言ったのである。
「今はね」
「今はですか」
「やがて。技術がさらに発展して高価でなくなれば」
「百貨店に備えられるまでのコストになれば」
「それはできるね」
 こう言うのだった。
「やがてね」
「そうですね。それでは」
「冷房は絶対に入れたいね」
 それはだとだ。義正は将来のことも話した。
「やがては」
「やがてはですね」
「うん、そして地下も使いたいね」
 この考えはだ。義正は強く述べた。

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