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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
番外編
【番外編】お花見
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。その手には、片耳取っ手のスープカップが握られていた。メイド長はカップをスッと受け取ると、黄色いスープの素を入れている。魔法でお湯を入れてかき混ぜるのだろう。

「そうなのか? リンドビオル卿」

「はい。私もマコトに今回の話をもらってから、ドルムントのドワーフ商館に聞いてみましたが……。人間の国カムナビでも、春先にこうやって、木に咲く花を敷物の上で鑑賞する娯楽があるそうです。
 そしてマコトはかの国の出身ではありませんので、異なる二つの人間の国で、同一の娯楽が存在していることになります」

「……ふーん。で、それは何を意味するんだ?」
「この『花見』という行事は、人間にとって特別なことで、花を見て単に『奇麗だ』と思うだけのものではない、ということです」

「リンドビオル卿の話はいつも遠回しすぎるぞ? もうちょっと手短に話せんのか?」

 すでに話の途中で飽きていたのだろう。魔王がサンドイッチを頬張りながら、呆れた顔をしている。
 魔王の態度はともかくとして、その意見にはぼくも同意だ。

「確かに。いつも思うんだけど、ルーカスの話はちょっとまどろっこしいんだよね。普段から魔王様でも聞ける程度に簡潔にしてくれると助か――」
「おいこら」
「ウグググ」

 今度は首を絞められた。

「では手短に……。まず、この木の花は、下向きに咲いています。
 これは、花が人に見られるため、そして、花が人を見つめるために、一生懸命に咲いてくれている――という捉え方ができます」

「ほう」

「そう考えますと、この花々が我々を温かく包んでくれている気がして、自然と気持ちが穏やかになってくるのです」

「なるほど。リンドビオル卿がそう言うなら、そうなのかな? 気のせいかわたしもそう思えてきた」
「わかってないくせに……」
「何だとこら」

 ガツンという頭への衝撃とともに、視界で星が飛ぶ。

「イタッ……いちいち突っかかってこなくていいですってば」
「だまれ。お前さっきから何気に失礼なことばかり言ってるじゃないか」
「思ったことを言っているだけですって」
「それがダメだと言ってるんだ」
「イタタタタ」

 ヘッドロックを極められているぼくを見て、ルーカスとメイド長がはにかむように笑っている。
 ルーカスはその穏やかな笑いのまま、

「魔王様、まだもう一つあります」

 と言って、続けた。

「花とは、あっという間に散る、非常に儚いものです。人間はその儚さを、自身の一生に重ねて考えているのだそうです。
 人間も比較的長命な生物ではありますが、それでも一生なんてあっという間に感じるのでしょうね。こうやって花を見ることによって、人生を大切にし、しっかり花を咲かせ、そして悔いのないように散ってい
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