精神の奥底
72 The Day 〜前編〜
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そして前にも同じような同じような体験をしたことがぼんやりと浮かんでくる。
そんな彩斗に彼女は続けた。
「一度だけ……あの夜の変身が最初で最後のはずだった。あれ以上の変身は身体にかなりの負荷を掛ける。しかも元からスターダストシステムのために生まれたくらい相性が良く、更にロキの子のあなたがスターダストを使い続ければ……スターダストの力を完全に引き出せるようになるのは時間の問題だと分かっていたから」
「僕は…スターダストに成る星の下に生まれたの…?」
「でもあなたは止まらなかった。Valkyrieに強い憎しみを、それ以上にValkyrieから誰か守ろうとする強い思いを抱き、戦いを続けた。あなたの優しさをずっと見てきた…知り尽くしていた私なら十分に想像できたことだったのに…」
本来、彼女の目的はValkyrieと紺碧の闇の陰謀から彩斗を生かすことだったのだ。
そして彼女の願い通りに彩斗はあの始まりの夜を生き延びた。
だがそれから先は彼女も想像は出来たが止められなかった。
自分を追い込み、ただひたすらに自分が憎しみや中途半端な正義感で走り続けてしまったのだ。
「……君は…僕をずっと?」
「私はサテライトサーバーの最深部からずっとあなたのことを見てきた……私との適合数値が高かったからじゃない。もしスターダストシステムの封印が解かれることがあれば、真っ先にあなたが実験台にされる……想像するだけで恐ろしかった……」
「……」
「でもそれ以上に……あなたのことが放っておけなかった……何処か私と似ている……逢ったことも無かったのに昔から知っているような不思議な感覚に」
「……ぁ…」
彼女のその思いに触れた時、ぼんやりと浮かんでいた既視感の輪郭がはっきりとし始めた。
ミヤだ。
ミヤも理想と現実は一致しないと分かっていながらも、希望を抱いて生きていた。
自分を見捨てず、学校全体を敵に回すことも厭わずに味方であり続けてくれた。
そんなミヤを巻き込んでしまったこと、それが彩斗の心に強迫観念のように刻まれ突き動かし続けていたのだ。
そしてその点においても、彼女にシンパシーを感じた。
どうして強迫観念に取り憑かれたかのように自分を助けようとしてくれたのか。
きっと何か抱えているものがあるはずだった。
「君はどうしてそこまで...…僕を……」
「私は…いいえ、アイリス……アイリス.EXEとしての私は、かつてアメロッパ軍の軍事ナビだった」
「……軍事ナビ?アイリスが…?」
「私には兄のカーネル譲り、それ以上の軍事オペレーション能力があった。でも軍事ナビに感情は不要、私は感情を持たぬままに命令を遂行していった」
「……」
「命令だったとはいえ、私は多くの命を奪った。大人も子供も、もう数え切れないくらいの人を殺し
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