湾岸線のドライブ
私はふと雨の音に気付き、目を覚ました。視線を横へ向けると、そこには彼の穏やかな笑顔がある。彼はハンドルを握ったまま、湾岸線を進み続けていたけれど、こちらへとふと振り返って、唇を柔らかく微笑ませてみせた。
「ぐっすり眠っていたね。もう少し先までドライブしようか?」
彼の言葉に、私はうなずいてみせ、もう一度シートに身をもたせかける。するとまた、心地良い脱力感に襲われてくる。
今の夢はどんなものだった? そしてこれから見る夢は、どんなものなのだ?
「まだ、眠ってていいよ。後で、起こすからさ」
彼にそう囁きかけられ、私は自然と瞼を閉じてしまう。白い靄に体を放り込まれて、物語の泉へと否応なく吸い込まれていった。そこに再現されるドラマは誰かの涙、誰かの笑顔、誰かの人生そのものだった。
やはり湾岸線のドライブは、誰かの夢を私に見させるのだ。
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