第五章 じょじょじょ
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子たちは空間スッカスカ、何故このような組み合わせなのか。
それはさておき、定夫たちは現在ようやく落ち着きを取り戻していた。
先ほどの阿鼻叫喚絵図を、もしも誰かが動画に撮っていて彼らに見せたならば、あまりの恥ずかしさに自ら命を絶つ者が出たとしても不思議ではなかっただろう。
と、それほどに狼狽していたわけであるが、繰り返すが現在は落ち着いて完全におとなしくなっていった。
女子生徒の掛けた言葉、「いつもアニメの話をしているから、ちょっと興味を持って」という、それにピクリ反応して、じたばた暴れ泣き叫んでいたのが嘘のようにすーっと収束したのである。
おとなし過ぎるくらいであるが、反動というよりは単に女子との接し方が分からないからであろう。
とにかく、
「そこで座って、ちょっと、お話しませんか?」と恥ずかしげに顔を赤らめる女子生徒に促されるまま、ケヤキの木の下のベンチにこうして腰を降ろしているというわけである。
「とと、問うが、何故、せ、拙者どもが、アニメファンであると。あいや、結果的には事実関係としてなんら相違ないわけではあるが、いわゆる、その論理的判断に至った過程が気になり」
「ですから、廊下でそういう話をしていたのを聞いたからですってば」
「ああ、そうでござった」
日本語を無意味にこねくり回すわりに、人のいうことはあまり聞いていないトゲリンであった。
今度は女子生徒が、質問の口を開いた。
「あの、あなたたちが、イシューズと呼ばれている有名な三人組さんなんですよね」
「い、いわれては、いるらしけど……。どど、どゆっ意味なのかなあ」
八王子がカチコチ笑いで尋ねた。
みな、女子と喋り慣れていないのである。
「ええと、なんでも精神的悪臭を放っているからだとか……あ、あ、いえっ、わたしは別にそうは思っていませんけど、世間的にっ」
前へ突き出した両の手のひらを、ひらひら振る女子生徒。
その言葉が終わるか終わらないかのうちに、定夫たち三人は寸分の狂いもなく同じタイミングでがばっと腰を上げ立ち上がっていた。
彼女から数メートル離れたところで、顔を突きつけあった。
今にも泣き出しそうな、情けない表情の顔を。
「やっぱり、そういう意味だったのか」
「靴とか、そういうことではないのでござろうな、とは思っていたが。うすうす」
「しかし、あの女子もさあ、本人たちの前でいうかなあ。精神的悪臭とかさあ」
「空気を読めないタイプなのかも知れないな。我々以上に」
「どうやら敵ではなさそう、と思っていたが、分からなくなってきたでござるな」
ひそひそこそこそ。
こそこそひそひそ。
「あ、あの、なにか」
女子生徒がベンチに深く座ったま
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