第五章 じょじょじょ
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恐怖に歯をガチガチならす定夫。いや、トゲリンと八王子もだ。ガチガチカチカチ地獄の大合唱であった。
「だからって、どうして逃げるんですかあ。一体あなたたちが、なにをしたっていうんですかあ」
だだ、だからそのへんな台詞をやめろお!
「もうおしまいだあああ!」
絶望絶叫八王子。
砂場の砂に、だすっと拳を叩き付けた。
その横では、
「すいへいりーべ、すいへいりーべ、すいへいりーべ」
トゲリンが歯をガチガチならしながら上半身を起こしたかと思うと、肥満したお腹を両手でむにょむにょつまんで、なにやら口ずさみ始めた。
意味不明の行動だが、何年もの付き合いである定夫にはどういう心理状態によるものなのか想像が出来る。
トゲリンは「ひょっとしたら、もしかしたら、敵ではないのかも」、というこの女子と、なんとか話そうと、なんとかコンタクトしてみようと、まずはなんとか落ち着こう、と精神統一しているのだ。
「ががががが、ががががが」
八王子が、頭を振りながらエレキギターをピックで弾くようなポーズをとったかと思うと、右腕をぶんと斜めに振り上げ「ぎょいーーん」と叫んだ。と、突如ポケットから小型ノートを取り出し、がりがりなにやら書きなぐっていく。
その八王子の行動、何年もの付き合いである定夫には分かる。
トゲリンの人間を捨てたような情けない様子に、他人の振り見てなんとやらで恥ずかしくなり、よし、ここは落ち着くんだ。落ち着いて、この女子へ話し掛けてみるんだ。しかし女子と話をしたことなどなく、しかもこのシチュエーション。なんとか冷静にならねば、とデスリストへの写経によって精神統一を図っている、というわけだ。
女子生徒は、錯乱したような三人の姿にあっけにとられ立ち尽くしていたが、やがて、すっと軽く息を吸うと、ゆっくり口を開き、尋ねた。
「あの……イシューズさんですよね」
違う!
定夫は、胸で即答していた。
あ、いや、そう呼ばれていることに違いはないのだが。
2
宇宙があり、
銀河系があり、
太陽系があり、
三つ目だか四つ目だかに地球があり、
成層圏があり、
アジアがあり、
日本列島があり、
本州があり、
東日本があり、
関東地方があり、
東京都があり、
武蔵野市があり、
都立武蔵野中央高等学校があり、
校門近くに植えられたケヤキの木を、ぐるり取り囲むように三つのベンチがあり、
そのうちの二つに、彼ら四人は腰を降ろしていた。
山田定夫と、トゲリン。
八王子と、先ほどいきなり声を掛けてきた女子生徒。
定夫たち二人は超肥満なので当然のことぎゅうぎゅうで見ているだけでも暑苦しい状態、反対に八王
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