EX回:第47話<戦場より辛いもの>
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たちは黙々と準備をしている。
(会話が、全く無い)
……なんだか寂しいというか雰囲気が暗い。ここでは彼女たちは単なる「機械」なのだろうか?
急に何かを思い出したような顔をした技術参謀が技師に話しかけた。
「切り札になるか試して見ないと分からんが新しいレシピ情報をいくつか持ってきた。午後から、それも投入してみよう」
「ほう、それは楽しみです」
技師は急に嬉しそうな表情になる。
(レシピって? 何だそりゃ?)
そろそろ付いて行けない話題だ。初めて聞く内容だ。まるで料理のような……。
すると私の表情を見たブルネイが話しかけてきた。
「レシピのことか? お前が知らなくて当然だ。その技術によって艦娘の建造技術がが確立されたんだ」
「失礼します」
そこで配膳の吹雪がカットインしてきた。口数がほとんど無いが仕事はしている。彼女は黙々と私たちの前に配膳をした。他の駆逐艦娘たちも意外と手際が良い。
「この艦娘たちが、量産型か」
私は呟く。
ブルネイも続けた。
「俺も最初は半信半疑だった。もちろん最初は悲惨だったよ。もう殺人現場のような……」
そこまで話した彼は少し表情が暗くなる。
「やめよう、食事時だ」
彼を見て私は思った。
(そうだよ、開発の現場なんて修羅場だ)
ましてや艦娘の「建造」なんて生半可なことではない。
配膳する艦娘たちを見ながらブルネイは言う。
「限られた命……そんな艦娘たちを見ているというのは正直、戦場より辛い」
その呟きに私はハッとした。
そうか。不安定だから、ここの艦娘たちは、いつかは止まってしまう。それは人間で言うところの「死」のようなもの。
艦娘たちは日常会話も出来るだけに、その日を突然、迎えることは辛いだろう。
もしかしたらブルネイたちは意図的に艦娘たちに「情」をかけるのを避けているのだろうか?
愛着が湧かぬように……別れの辛さを味わう事がないように?
人から情を掛けられないと艦娘たちは本当に単なる機械になってしまうのだろうか。
(だから、ここの艦娘たちは一様に暗いのか?)
そういえば兵学校時代のブルネイはリーダー的なスポーツマンタイプだった。草食系の私とは、まさに正反対だった……なぜか妙に気が合った。引っ込み思案の私に彼は休日には、よく声をかけて引きずり出してくれた。
お陰で私も見識が広がり何とか卒業できたようなところもある。
(今思えば感謝だな)
そんなブルネイが厳しい現実に翻弄されて以前よりも暗く見えた。
(辛いだろう)
……だが今の私に何か出来るだろうか?
美保の艦娘たちすら満足に管理できない中途半端な私に……。
(やめよう、こっちまで暗くなる)
そこで私は気になって
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