第五章
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「じゃあ草毟り手伝ってね」
「全く、まあいいわ」
由利香もこうした時手伝わない娘ではない、嫌々でもだ。それで母の傍に来て草を毟りだした。鴨達から離れて。
鴨達は成長していき身体の色も変わっていった、子鴨独特の外見から大人のそれになっていっえいた。その頃には。
もうすっかりだ、ジュリエッタもだった。
由利香から離れていた、由利香は母親や兄弟姉妹達といつも一緒にいる様になった彼女を見て笑って言った。
「親離れしたみたいね」
「ええ、そうね」
結衣もその彼女を見て言う、鴨達は今は水桶の中で遊んでいる。
「すっかりね」
「ずっと私の後ばかりついてきたのに」
由利香を母親と思ってだ。
「それがすっかりね」
「親離れしてね」
「大人になったってことね」
「そうよ、もうこの娘も他の娘もね」
ジュリエッタだけでなく彼女の兄弟姉妹達もというのだ。
「大人になったのよ」
「大人になったからなのね」
「いつも由利香ちゃんの後ろをついてこなくなったのよ」
「そうなったのね」
「もう子供じゃないから」
だからだというのだ。
「離れたのよ、ただね」
「ただ?」
「ジュリエッタは今も思ってるわよ」
大人になった今もというのだ、成鳥になっても。
「お母さんは由利香ちゃんだってね」
「そのことは変らないのね」
「だってよく見て」
ジュリエッタ、彼女をというのだ。
「由利香ちゃんが世話に来たらすぐに由利香ちゃんを見て由利香ちゃんを鴨達の中で一番見て一番近くに来るのよ」
「そういえばそうかしら」
鴨達の首にかけてある名札を見つつだ、由利香は思った。それでどの娘かすぐにわかる様にしてあるのだ。
「この娘が」
「そう、だからね」
「今もなのね」
「由利香ちゃんをお母さんに思ってるのよ」
「親離れしても親は親ってことなの」
「そうよ、ずっと由利香ちゃんをお母さんって思ってるの」
この想いは変わらないというのだ。
「ジュリエッタはね」
「ううん、何か不思議な気分よ」
母のその話を聞いてだ、由利香は実際に不思議に思った。
「何ていうかね」
「不思議なの?」
「何かね」
「不思議じゃないわよ、由利香ちゃんにとってお母さんはずっとお母さんでしょ」
「ええ、それはね」
その通りだとだ、由利香は今もやけに艶っぽい母に顔を向けて答えた。実は自分が母の年齢になってこの色気があるだろうかとも思っている。
「お母さんが産んでくれたし」
「産んでも産まなくてもよ」
「お母さんって思えばなの」
「それはずっとなのよ」
例え実の母親でなく親離れしてもというのだ。
「変わらないことよ」
「親子ってそういうものなの」
「そうよ、例え産んでいなくてもね」
「だから今もなのね」
「ジュリエ
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