第三章
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「そうするのよね」
「勿論よ、そのうえでね」
「これからもずっと」
「可愛がってね」
「ええ、私をお母さんって思ってるのは意外だけれど」
それでもとだ、由利香は子鴨を笑顔で見つつ母に答えた。
「そうしていくわね」
「そうしてね」
結衣も娘に笑顔で言った、そしてだった。
カトリーヌは暫くしてから不妊手術に出されてその日のうちに家に帰って来た、そのうえで家族で彼女と子鴨達の世話をしていった。由利香が一番そうしていて。
いつも餌をやって水をやって遊んでいた、そうして子鴨達の成長を見守っていたが自分を母と思っている子鴨はだった。
特に彼女に懐いていた。それでだった。
カトリーヌ達と一緒にいても自分の方に来るのでだ、庭で草毟りをしていた結衣にこうしたことを言った。
「ねえ、カトリーヌ寂しそうよ」
「ジョゼフィーヌがあんたの方に行くから?」
「そうなの」
その子鴨の名だ、子鴨達はそれぞれナポレオン、アントワネット、フィリップ、オーギュスト、マリアンヌ、シャルルと名付けられていて彼女はそうだった。
「それでね」
「お母さんなのにね」
「ジョゼフィーヌは私をお母さんって思っているから」
刷り込みによってだ。
「そのせいでね」
「だから生みの親としてなのね」
「寂しそうなの」
「それは仕方ないわね、けれどね」
「それでもよね」
「皆と公平に遊んであげてね」
ジョゼフィーヌも他の子鴨達もというのだ、そしてカトリーヌも。
「そうしてね」
「そうしないと駄目なのね」
「だって皆同じうちの鴨でしょ」
ペット、もっと言えば家族だからというのだ。
「だからよ」
「大事になのね」
「公平に遊んでね」
「そうするものなのね」
「子供は公平に育てるものだってね」
ここでこうも言ってきた母だった。
「お母さんが言われたものよ」
「お祖母ちゃんによね」
「そうよ、実際お母さん公平に育てられたから」
彼女の母、由利香から見れば祖母にだ。
「三人姉妹だったけれどね」
「その真ん中でね」
「三人共そう育ててもらったから」
「だからなのね」
「あんたもそうしなさいね」
「ジェゼフィーヌが私をお母さんって思っていても」
「それでもよ、贔屓はしないでね」
ジョゼフィーヌばかり可愛がることなく、というのだ。
「そうしてね」
「わかったわ、この娘すぐに私の後ろについてくるけれど」
餌をやって鴨達が食べるのを見ながら答えた、当然ジョゼフィーヌも食べている。
「それでもね」
「公平にね」
「そうしていくわ」
「それが母親ってものよ」
「皆公平に育てるのが」
「皆家族でしょ」
どの子鴨達もというのだ、母親であるカトリーヌも含めて。
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