第一章
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お母さん
山城由利香は家で鴨を飼っている、それは家畜ではなくペットとしてだ。その明子に母の結衣は首を傾げさせて言った。
「家鴨じゃなくてね」
「そう、鴨なのよ」
薄茶色に脱色した縮れ気味の髪の毛を胸の辺りまでヘアスタイルで目はやや小さめの蒲鉾型の奥二重の目だ。やや面長で先がやや尖った顎が印象的な白い顔である。鼻の高さは普通だ。背は一六三センチ程であり胸がやけに大きい、そして半ズボンから見える脚も白く見事な形をしている。その彼女が四十だというのにまだまだ艶っぽい外見の母に言うのだった。
「私が選んだのはね」
「何でまた鴨なの?」
結衣は鴨の餌を持って来ながら娘に尋ねた。
「そもそも」
「可愛いからよ」
それでとだ、由利香は母に答えた。
「色とかがね」
「まあ可愛いけれどね」
母もそのことは否定しなかった。
「鴨は鴨でね」
「そうよね」
「けれど家鴨の方がね」
自分から餌を受け取ってそれを鴨にあげる由利香に話した、鴨の名前はカトリーヌというが由利香が名付けたものだ。
「ペット向きでしょ」
「まあそれはね」
由利香も否定せずに答えた。
「外見的にもね」
「ええ、家鴨は白いからね」
羽毛の色がというのだ。
「兎みたいでね」
「それなのになの」
「ええ、この娘の方が可愛いって思ってね」
「鴨にしたの」
「友達から貰ったけれど」
元は友人の家で譲り受けた鴨なのだ、カトリーヌがまだ子鴨の時に譲り受け今も育てているのである。
「家鴨もいたけれど」
「鴨にしたのね」
「この娘の方が可愛くてね」
またこう母に話した。
「そうしたの、けれどお母さんこの娘嫌い?」
「いえ、好きよ」
結衣は娘にすぐに答えた。
「確かに私は家鴨の方が好きだけれど」
「それでもよね」
「この娘性格いいから」
カトリーヌを微笑んで見ながら話した。
「大人しくて愛嬌があるし」
「そうよね」
「好きよ、お父さんもそう言ってるでしょ」
「性格美人なのよね、この娘って」
「だからね」
それでというのだ。
「この娘は好きよ」
「そうよね、あとこの娘お腹大きくなってきたわ」
「あら、子供生まれるの」
「ええ、不妊手術はしてなかったわね」
「そうね、じゃあ子供生まれたら」
「今回は産んでもね」
子供、それをだ。
「それでもね」
「ええ、避妊手術はしておかないとね」
「それはしておかないとね」
「どんどん生まれるとね」
「困るから、ただ何時子供ができたのかしら」
このことについて考えた由利香だったがすぐに答えが出た。
「前に里帰りってことでこの娘を友達のお家に連れて行った時ね」
「絶対その時ね」
母も言う、餌を食べた後は彼女達がいる家
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