暁 〜小説投稿サイト〜
理想のチーム
第六章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「まず一勝しないとな」
「そうですね、シリーズは先に四勝です」
「一勝が大きいです」
「第一戦に一勝すればやっぱり大きいです」
「何といっても」
「そうだ、先に四勝してみせる」
 ピッチャーとしての気の強さも見せてだ、西尾は言った。もっと言えば生来の短気さも出した。
「ここはどんどん投げさせる」
「東口にですか」
「そうさせますか」
「そうする」
 今投げているエースの彼にというのだ。
「あいつのストレートとスライダーで相手を完全に抑えさせる」
「マウンドで抑えて」
「完封してもらってですね」
「そしてこっちが先に一点取って」
「そして勝ちますか」
「そうしてやる、どんな嫌らしい攻めをしてきてもな」
 西尾が言う町村の采配だ。
「マウンドから攻めればな」
「はい、そうすればですね」
「相手に一点も取らせない」
「そうすればいいですね」
「それでいく、そして先に勝つ」
 こう言ってだ、彼は攻めさせた。するとだ。
 八回裏だった、その東口はこの回の最初のバッターにツーベースを打たれた。ここで町村は言った。
「わしの読み通りやったな」
「はい、試合が動かないとですね」
「西尾さんはピッチャーに攻めさせる」
「そうしてですね」
「相手を抑えて」
「そして点を取らせない」
「そうしてきますね」
「そや、しかもマウンドのピッチャーの調子がええとな」
 今の東口の様にだ。
「そいつに任せる、そしてや」
「そうしてですね」
「ピンチになってもですね」
「マウンドのピッチャーに任せる」
「そうしてきますね」
「ピッチャーは勝負にこだわる」
 野球の中で最というのだ。
「とりわけな、そして西尾はや」
「そのピッチャーの中でも」
「特にこだわる人」
「だからですね」
「東口に投げさせるわ」
 八回裏零対零でノーアウトランナー二塁でというのだ。
「勝負ここだわる、しかしや」
「それでもですね」
「そこがですね」
「まさに」
「狙い目や」
 相手としてはというのだ。
「最初に勝つで」
「では」
「まずはバントやと思うな」
 戦術のセオリーではというのだ。
「そうなるな」
「しかしですね」
「もう一つのセオリーでいく」
「そちらで攻めて」
「西尾を揺さぶるわ」
 こう言ってだ、町村はサインを出した。するとそのサイン通りにだ。
 二人のランナーが動いた、ピッチャーが投げると同時に盗塁にかかった。バントを警戒していた西尾もナインもこれには驚いた。
 キャッチャーが慌てて三塁に投げるが間に合わなかった、ダブルスチールは見事に成功した。
 それを見てだ、西尾は歯噛みして言った。
「やられた、バントと思ったが」
「盗塁ですか」
「それできましたね」
「ノーア
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ