第一章
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理想のチーム
西尾長司は名球会にも入った名投手だ、現役時代は勝負強いピッチングと負けん気の強さで有名だった。
投手理論でも知られよく解説の席でも言っていた。
「やっぱり野球はピッチャーなんだよ」
「ピッチャーが悪いとですね」
「どうしようもないんだよ」
その解説を行っている試合で打たれるのを観て言うのだった。
「だからまずはな」
「投手力ですね」
「先発を揃えてな」
そしてというのだ。
「中継ぎ、リリーフもだよ」
「全部ですね」
「いてな、そしてな」
さらに話すのだった。
「育成もして怪我もさせない」
「怪我が一番怖いんですね」
「俺も勝てたのはな」
つまり名球会に入られたのはというのだ。
「怪我をしなかったからだからな」
「怪我もしない様にすることですね」
「それも大事なんだよ、だから怪我人が多いチームはな」
「弱いっていうんですね」
「実際にそうだよ」
両手を動かしながら話す、丸い顔で目鼻立ちは随分と気が強そうだ。黒髪を七三に分けている。
「優勝出来たりしないだろ」
「主力が怪我をして」
「その辺りも考えていかないとな」
「強いチームにならないんですね」
「ピッチャーが第一だから」
野球はというのだ。
「点を取らせない、怪我をさせない」
「そして育成もですね」
「しっかりしてこそだよ」
「強いチームになれますか」
「そうなんだよ、野球はな」
解説者の時も言っていて長い間彼が所属していたチームで投手コーチとして招かれてもだ、その理論を活かしてだった。
彼はチームの投手陣を育てた、彼の投手理論は確かに優れていてだ。
怪我人は激減し若手は育ちベテランは息を吹き返した。先発中継ぎ抑えと人材が揃ってだ。
チームの投手事情は各段によくなった、それでファン達は言った。
「言うだけあるな」
「凄い投手陣になったな」
「これまで怪我人多かったのに減ってな」
「優勝も出来た」
「凄い投手陣育ててくれたよ」
「流石だな、西尾」
「凄いコーチになったな」
まさにというのだ。
「只育成とか采配がいいだけじゃなくて」
「怪我にも気をつけてくれている」
「完璧な投手コーチだな」
「有り難いぜ」
「しかしな」
ここでだ、ファンの一人がこう言った。
「西尾ってピッチャーばかり言うな」
「ピッチャー出身だしな」
「それで投手コーチだしな」
「どうしてもピッチャー中心になるな」
「それは実際にだな」
「ピッチャー出身だとそういう人多いな」
「その中でもな」
ピッチャー出身の人物の中でもというのだ。
「特に凄いな」
「言われてみればそうだな」
「西尾は本当に投手人間だな」
「野球はまずピッチャー」
「ピッチャ
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