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本当の強さ
第七章

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「本当にね、けれど」
「その人は普通に歩いていたのよね」
「立ってね」
「そこまでなったのよ」 
 必死のリハビリの結果というのだ。
「それが出来るまでになったのよ」
「私だったら」
 全身がそうならとだ、倫子は真剣に考える顔になってそのうえで母に話した。
「もう無理よ」
「一生寝たきりでいいって諦める?」
「そうかも」
 実際にそうするのではというのだ。
「本当にね」
「けれどその人は立って歩ける位になったから」
「普通に」
「それだけ強い人ってことよ」
「辛さ、痛さ、苦しさにも耐えられて」
 そしてというのだ。
「絶対にそうなるって諦めなかった」
「それこそがよ」
「本当の強さってことね」
「そうよ、あんたも遂にわかったわね」
「ええ、まさかね」
 本当にとだ、倫子は言った。
「このことがわかるなんてね」
「思わなかったのね」
「驚いてるわ、けれど強いっていうのは」
「そうよ、心がどうかよ」
「そいうことなのね、じゃあ私は」
「今も強くなりたいって思ってるわね」
「ええ」
 その通りだとだ、母にすぐに答えた。
「だから今も空手を続けてるし」
「それじゃあわかったわね」
「ええ、本当に強い人になりたいから」
 今もそう思ってるからだというのだ。
「これからはね」
「その人みたいにね」
「心が強くなる様にするわ」
「そうしなさい、じゃあその一歩にね」
「まずはね」
「リハビリをよね」
「頑張りなさい、いいわね」
「そうするわ」
 確かな顔でだ、倫子は母の言葉に頷いた。そしてリハビリが完全に終わって手が元通りに受けく様になってからだ。高校は別々になったが今も仲良くしている凛達にこのことを話した。本当の強さとは何か、彼女がわかったことを。そうして四人で本当に強くなろうと約束し合った。心が強く彼の様になろうと。これが四人の本当の意味での強さを求めるはじまりとなりそうして大人になっていった。立派な大人に。


本当の強さ   完


                 2017・8・14
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