九 傀儡師
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ソリは訝しげに遠目で見遣って、やがて高らかに嗤った。
「喜べ!貴様らで、俺の芸術はちょうど三百体となる」
今まで人傀儡にしてきたコレクションを自慢するかのように、冷笑する。
(できることなら坊を記念すべき三百体目にしたかったが…まぁいい)
もっと特別な機会にナルトを己の芸術作品にしようと勝手に決めたサソリは、何やら自分を倒す手立てを模索しているらしき二人の動きを注視する。
やがて、真正面から突っ込んできたいのに、呆れ返ったサソリは攻撃態勢を取ろうとして、自由に動かぬ我が身に、顔を強張らせた。
「なに…!?」
ハッ、と我に返ったサソリは、直後、チヨの先制攻撃であるクナイの意図を悟った。
「婆、てめぇ……ッ」
だが、その瞬間、いのの拳が迫り来る。
咄嗟の判断で『ヒルコ』から抜け出たサソリは、案の定、バラバラに砕かれた傀儡に、チッと舌打ちした。
カラカラカラ、と乾いた音を立てて地面に転がる『ヒルコ』の傍ら、黒のフードで顔を隠したサソリは「流石だな、チヨ婆…」とチヨを称賛する。
九本のクナイで攻撃した際、チヨはクナイについていたチャクラ糸を『ヒルコ』につけ直したのだ。
叩き落したのが仇となり、逆に己の得物である傀儡人形をチャクラ糸で全身に結んだチヨを、サソリは黒のフードの陰で見据えた。
「傀儡遊びを俺に叩きこんだだけはある…」
「…もう終わりじゃ。傀儡遊びも……そしてサソリ――お前も」
サソリの傀儡人形『ヒルコ』のコントロールを奪ったチヨは、指に結んだチャクラ糸を眼前に掲げた。
己の武器であり、鎧であった『ヒルコ』がチヨの命令で、バラバラに砕かれても猶、サソリに襲い掛かってくる。
「さァて…」
だが、それより速く、サソリは『ヒルコ』を何の未練も無く、粉砕した。
「そう、うまくいくかな?」
空中分解した傀儡人形の中、サソリは黒のフードを脱ぎ捨てた。
愕然と眼を見開くチヨを、愉快げに眺める。
そうして、厳重に紐で結わえた巻物を取り出し、彼は最初から手の内をさらけ出した。
圧倒的力で、相手を叩きのめす為に。
「婆相手に出し惜しみはしねぇ」
百体もの傀儡人形を従えて、サソリは嗤った。
「始まってすぐで悪いが、終演にしよう」
二十年前、砂隠れの里を抜けた当時のまま。
若々しい十五歳の容姿で、サソリは優雅に、それでいて不敵に微笑んでみせた。
「チヨ婆さまよぉ……?」
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