九 傀儡師
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「芸術に関する考えはだいぶ違うが、旦那の強さは本物だ。そっちを相手にした方がいいと思うがな…」
九尾の人柱力を捕まえたい故に、デイダラは邪魔なカカシをその場に留まらせようと促す。
巨鳥の口にくわえさせた我愛羅を取り戻そうと、怒りに満ちた表情で己を睨むナルを、デイダラはちらりと見遣った。
洞窟前の紅い鳥居の上に佇む九尾の人柱力は、金色の長い髪をなびかせて、デイダラを真っ直ぐに睨む据えている。
その容姿はナルトに似通っていたが、瞳の色だけは違っていた。
炎の如く真っ赤に燃える赤。
(ナル坊とは眼の色が違うな、うん)
やはりナルトとは似ていない、と結論づけて、デイダラはナルを挑発する。
「可哀想な嫌われ者の人柱力同士、放っておけない?だからコイツを取り返そうと必死なわけか?うん?」
紅い鳥居の上。
ナルの頭上を旋回しながら、デイダラは巨鳥にくわえさせた我愛羅をこれ見よがしに見せつける。
「人柱力は根暗で人嫌いなヤツが多いと聞くが…お前は変わってるな、うん」
失くした片腕の裾を棚引かせて、デイダラは口許に弧を描いた。
わざと声を張り上げる。
「我愛羅は死んだ!!」
尾獣を抜かれた人柱力は死に至るのは当然。その上、あのナルトが一尾を抜いたのだ。
現に、鳥の口の中で、我愛羅は身動ぎ一つしない。息をしていない。心臓も動いてやしない。
「安心しろ、うん」
寸前の顔とは打って変わって、にこりとデイダラは笑顔を浮かべる。口許に湛えるそれは、気遣っているかのような穏やかな笑みだ。
だが、その口からもたらされる言葉は酷く辛辣で冷たいモノだった。
「―――直に、お前もそうなる」
傀儡使いは後ろで糸を操るのが定石。
何故なら、傀儡を操る時、隙が生じやすいからだ。遠距離戦を得意とする傀儡使いは、反面、接近戦に弱いのが通常。
それを克服する為に生み出されたのが、現在のサソリの姿。
傀儡人形『ヒルコ』だ。
本体である傀儡使いは、内から人形を操り、傀儡は術者の鎧とも、そして武器ともなる。
つまり、まずは攻防一体の傀儡『ヒルコ』から、本体であるサソリ自身を引きずり出さなければならない。
実戦経験はこの場で一番多いチヨは、用心深く此方を窺うサソリに、ふ、と口許を緩める。
待つのも待たせるのも嫌いなサソリが迂闊に手を出してこない。
昔からの性格は変わっておらんな、と思いつつ、チヨはいのに耳打ちする。自分に聞こえぬよう小声で囁くチヨを、サ
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