398部分:第三十一話 夏の黄金その二
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第三十一話 夏の黄金その二
「では」
「それを召し上がってから参りましょう」
「その黄金のある場所にですか」
「アイスを二人で食べることも」
義正もだった。自然にだった。この言葉を真理に告げた。
「最後かも知れませんね」
「そうですね。私は」
「春まで共にいましょう」
このことはだ。どうしてもだというのだった。
「ですから」
「はい、今はですね」
「二人でアイスを食べましょう」
「最後になるかも知れないですから」
だから余計にというのだった。
「そうですね」
「この子はまだ無理ですが」
義正は義幸も見て言う。二人の愛の結晶を。
「それでもです」
「この子には私が何時か」
「食べさせてくれるのですね」
「他のものもです」
アイスクリームだけではない。二人がこれまで共に食べてきた。全てのものもだというのだ。
「この子に。何時か」
「食べさせてくれるのですね」
「貴女が美味しいと言った食べ物ですから」
だからだというのだ。どれもだ。
「ですから」
「有り難うございます。ではその時には」
「お任せ下さい」
真理がいなくなった後にもだと述べてだった。義正は真理をアイスクリームに誘いだ。二人で食べたのだった。そしてそれからだった。
二人でだ。黄金の場所に向かった。そこは。
畑だった。だが只の畑ではない。小高い丘の上に置かれただ。ひまわりの畑だった。
その畑達を見てだ。真理は言うのだった、
「これは」
「どうでしょうか」
「黄金とはこのことだったのですね」
「そうです」
まさにその通りだとだ。義正は真理に述べた。
そうしてその黄金に咲き誇る小さな太陽達を見つつだ。真理に問うた。
「どうでしょうか。この黄金達は」
「日本のものではない様に思えます」
そのひまわりにもだ。異国情緒を見て言う真理だった。
「西洋、それも」
「南の方のですね」
「伊太利亜でしょうか」
そうではないかとだ。真理は言うのだった。
「その国でしょうか」
「そうですね。伊太利亜か」
「その他にもですか」
「仏蘭西でしょうか」
「それも南仏蘭西ですね」
「本で読みました」
真理は本からだ。そのひまわりのことを話していく。
「日差しの強い場所で咲くこの花達のことを」
「そうですね。ゴッホですね」
「ゴッホですか」
「ゴッホの絵でひまわりという絵があります」
その画家の名前がここで出されたのだ。
「印象派の画家でして」
「その人の絵ですか」
「はい、あります」
「ひまわりそのものの絵ですか」
「ゴッホの絵は極めて印象的な絵で」
さらにだ。彼は話すのだった。
「絵の具をこれでもかと使って塗ります」
「絵の具をですか」
「しかも極めて鮮やかな
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