第二章
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しかしその中でだ、ふとだった。
一人の白い着物を着て杖をついた腰の曲がった小柄な異様に顔の白い老婆が来た、その老婆は。
空いている席の一つに座ってだ、注文に来た万里花にこう言った。
「お酒をくれんかの」
「アルコール類ですか」
「ああ、今はそう言うんじゃな」
随分と皺がれた声での言葉だった、見れば指もかなりの年齢が見られる。
「そうか」
「はい、アルコール類ですか」
「そうじゃ、酒はあるか」
「ええと、日本酒ですか」
万里花はあくまで酒と言う老婆にこう返した。
「そうですか」
「そうじゃ、米の酒じゃ」
こう万里花に言った、ここで万里花は老婆の身体からある香りを感じた、その香りは妙にいいものだった。
だがその香りのことは表情にも出さずだ、老婆に応えた。
「日本酒ですね」
「うむ、それをくれ」
「わかりました、ではおつまみは」
「うむ、何でもいいんじゃが」
老婆は少し考えながらだ、メニューを見て言った。
「いかりんぐとは何じゃ」
「イカリングですか」
「これは何じゃ」
「はい、烏賊を丸く切って揚げたものです」
万里花は老婆にウェイトレスとして真面目に説明した。
「そうしたお料理ですが」
「そうか、烏賊か」
「はい、そうです」
「わしは歯が悪いから烏賊はいい、ならな」
メニューを読みつつだ、老婆はさらに言った。
「枝豆を貰うな」
「枝豆ですか」
「それをくれ」
「わかりました」
こうしてだ、万里花は注文を受けてだ。それを及川に言うと及川はすぐに調理と酒の用意に取り掛かった。
しかしだ、ここでだった。
万里花は紗季にこんなことを言った。
「何か着物を着ててお顔は真っ白で」
「あれは白粉ね」
「ああ、日本のお化粧品ね」
「それね」
紗季も老婆を見ていて知っていた、真っ白な顔で手に編み笠を持っていて目立つので彼女も自然と目がいったのだ。
「ファンデーションみたいに使う」
「それね」
「ええ、白粉を使ってるのよ」
「そうなのね、あとね」
「あと?」
「もう一つ思ったことは」
万里花は紗季にさらに話した。
「あのお婆さん何かえらくね」
「昔の人だっていうのね」
「そう思ったわ、着物だしメニューの読み方にしても」
これもというのだ。
「イカリングご存知なかったみたいだし」
「そうなの」
「ええ、日本酒をお酒っていうし」
「日本酒イコールお酒は」
「そんな人は」
「ちょっとね」
そうそうというのだ。
「今は珍しいわね」
「それで内心びっくりしたの」
注文を受ける万里花にしてもというのだ。
「このお婆さん随分昔の人みたいだって」
「外見だけじゃなくて」
「白粉の香りも凄いし」
万里花はこのことも話した。
「
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