第3章
月光校庭のエクスカリバー
第26話 不穏な気配再びです!
[13/13]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
てもらってるよ」
「クソ! おまえは見るな!」
爽やかに笑う木場にイッセーアルバムを奪おうと飛びかかるが、木場は軽やかに躱してしまう。
「・・・・・・ったく、母さんも余計なものを持ってきやがって」
木場からアルバムを奪うことを諦めたイッセーがぼやき始める。
「いいお母さんじゃないか」
「どこがだよ!」
木場の言葉に再び突っかかり始めるイッセー。
「家族がいるって、いいよね」
突っかかってくるイッセーを捌いていた木場が途端に哀愁感を漂わせながらしみじみと言う。
家族がいる、か。まさか、こいつも俺や千秋みたいに家族を失ったことがあるのか? 父さんと母さんを亡くした俺は木場の横顔からなんとなくそんなことを思ってしまった。
「そういや、木場。おまえんちって──」
そんな俺と違って純粋に気になったイッセーが木場の家族のことを訊こうとする。
「──ねえ、イッセーくん。明日夏くん。この写真なんだけど──」
そんなイッセーの問いかけを遮るように木場が一枚の写真を指差してきた。
俺とイッセーは互いに向き合ったあと、木場の手元にある写真を見る。そこには、幼いころの俺とイッセー、それから栗毛の子が写っていた。
「ああ、その男の子、近所の子でさ、よく一緒に遊んだんだ。親の転勤とかで外国に行っちまったけど・・・・・・うーんと名前はなんて言ったっけ? えーと確か・・・・・・」
思い出せないイッセーの代わりに答えよとした俺は、木場の視線が栗毛の子ではなく、別のものを見ていることに気づいた。
「ねえ、二人とも。この剣に見覚えある?」
木場が見ていたのは写っている俺たちの後ろの壁に立て掛けられている一本の剣だった。
「いや」
「俺も。なにしろガキのころだし」
知らないと答えた俺だったが、ふと、その子は父親が聖職者だったのを思い出し、その剣の正体についてある可能性に至った。
「──こんな事もあるんだね・・・・・・」
そのときの木場は表情こそ苦笑を浮かべたものだったが、その瞳には寒気がするほどの憎悪に満ちていた。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ