アインクラッド編
12.洞窟の奥へ
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れたね」
「・・・」
「そうだったっけ?って顔してるよ」
彼女の言葉を無言で聞きながら、俺は違うことを考えていた。
なぜ彼女たちと一緒にいると、俺の表情が変わるのだろうか、と。
モンスターの群れと3回戦闘をこなした後、広い通路の奥に、俺達は光を見つけた。
「あっ、出口が見えてきたよ!」
ミーシャがはしゃいだ声音で言った。アンやシルストも次々に笑顔を浮かべた。
「2時間ちょっとってところか。意外とすんなり着いたな。結局あんまり強いやついなかったな?」
「あら、まだわからないわ。映画や小説では、こうやって安心した直後に危ないのが襲ってくるんだから」
まるで、そんなリヒティとクリスティナの会話を聞いていたかのように。
俺の索敵スキルが反応した。
「上だ、後ろに跳べ!」
俺の叫びを聞いた瞬間に全員後ろに飛び退く。空いた空間に、ドガッ!と音をたてて着地したのは、3メートルほどもある騎士風のモンスターだった。透き通った水色の装甲を持つその騎士は、目の代わりに青白い炎を2つ燃やし、右腕を大きく振りかぶった。狙いはミーシャ。
「ふおっ・・・!」
奇妙な叫び声を上げて、ミーシャがもう一度後ろに跳ぶ。ゴッ!とさっきまでミーシャがいた場所を、騎士の腕が叩き潰した。
「あっぶないなぁ!全員戦闘体勢!」
ミーシャの号令で、全員得物を抜き放つ。表示された名前は≪Doll without the missions≫、使命無き人形、といった意味か。
「まずはガード専念!ある程度パターン分かってから攻めるからね!ナツ、アルト、リヒティは頑張って!」
「了解ッス!」
「了解!」
「了解」
返事を返して前に出る。俺の剣は両手剣にしては細めだが、丈夫さをかなり上げているので壁役に徹しても何ら問題ない。それに、俺のやり方は受けるというよりは逸らす方だ。
次々に振り下ろされる拳を、ナツ、リヒティと交代しながら受ける。一撃一撃は重いが、防げないほどではない。
「よし行くよ!」
ミーシャ達は攻撃パターンを大体理解できたらしい。スイッチ!とシルストの声を受けて、俺は後ろに避ける。
「セヤッ!」
短剣ソードスキル≪ラピッド・バイト≫が深々と腕の装甲を削り、反対側でタクミの細剣ソードスキル≪パラレル・スティング≫が背中を穿つ。その直後、
「ゴアァ!」
騎士人形が吠えた。大きく開いた口の奥に、ちらりと見えたのは、赤い火の粉。
(まさか)
咄嗟にシルストの腰を左腕で抱えて、左に跳ぶ。だが間一髪間に合わず、シルストと俺の脚を、炎のブレスが飲み込んだ。
「・・・!」
「あっちい!」
上手く着地できずに、俺達はひとかたまりになって床に転がった。すかさず振り上げられた左腕を、リヒティがメイスで押し留めた。さらに、アンがチャクラムを投げて腕を後
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