第二章
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蟻田だけでなく彼の仲間やスタッフ達の『明かされてはならない』情報を全て手に入れた。そしてその情報をだった。
第三者の正体不明の人物としてネットに出した、すると。
忽ちのうちに蟻田のことは大騒ぎとなった、過激派との交流は知る者こそ知っていたが麻薬や武器の密輸、テロ行為の計画が明るみになってだ。
日本中で大騒ぎになった、蟻田自身は事実を必死に否定したが。
それでもだ、事実である確かな証拠も三崎は公開していてだった。
彼は逃れられずテロ等準備罪や麻薬取締法等で逮捕された、それは彼の関係者にも及び。
蟻田は社会的に完全に抹殺されテロも防がれた、それでだった。
女は再び三崎に会い彼に言った。
「お見事です、これでです」
「蟻田のことはですね」
「問題なくなりました、任務は成功です」
三崎にこのことを伝えるのだった。
「ボーナスは振り込みましたので」
「そうですか」
「はい、それでは次の任務があるまでは」
「待機ですね」
「そうされて下さい」
「わかりました」
三崎は女に無表情な声で答えた。
「そうさせて頂きます」
「はい、それで聞いたことですが」
女は顔の上半分が陰に隠れた状態で三崎にあらためて問うてきた。
「貴方は今も孤児院に行かれていますね」
「僕が入っていた」
「他の孤児院にも」
「それが何か」
「探しているのですね」
三崎を見つつだ、女は彼にさらに問うた。
「そうですね」
「僕が失くしたものを」
「そうですか、だからですね」
「そこにある様な気がしますので」
「だからですね」
「時々ですが」
それでもとだ、三崎は女に答えた。
「そうしています」
「そうですか」
「駄目でしょうか」
「日本という国が貴方に求めるのは任務の成功です」
女は三崎にはっきりと告げた。
「他のことは何もです」
「求めていませんか」
「はい、ですから貴方が孤児院に行くことを止めません」
そうだと言うのだった。
「むしろそれが貴方にとっていいことなら応援させて頂きます」
「僕をですか」
「はい、よいことがあることを祈ります」
「この場合は有り難うと言うべきでしょうか」
「そう思われてもいいです」
女は三崎に感情を消した声で言葉を返した。
「日本としては」
「そうですか」
「ではまた」
女は三崎の前からまた姿を消した、まるで影がそうなる様に消え去ってしまった。三崎もまた彼の部屋に帰った。表の世界に。
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