第一章
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青汁
小野くんの好物は青汁だ、だがこの青汁について。
皆飲んでからだ、ほぼ確実にこう言った。
「まずい!」
「もういらないよ!」
「何だこのまずさ!」
「とんでもないぞ!」
「まずい?」
しかし小野くんは彼等にいつもこう返した。
「美味しいよ」
「いや、まずいよ」
「何処が美味しいんだよ」
「こんなまずいものないよ」
「何でこんなのいつも美味しく飲めるんだよ」
「このことも不思議で仕方ないよ」
不思議系で有名な小野くんのことでも特にというのだ。
「こんなのゴクゴクと飲むとか」
「幾ら何でも凄過ぎだろ」
「一口で嫌になるよ」
「コップ一杯飲むだけでも」
「下手な薬より酷い味だよ」
「身体にはいいって言われていても」
「そう、身体に凄くいいし」
それにと言う小野くんだった、彼自身は。
「しかもね」
「美味しいんだよな」
「小野くんが言うのは」
「青汁は」
「うん、毎日お水代わりに飲んで」
その飲む量はというと。
「三リットルかな」
「毎日三リットルもか」
「こんなの飲んでるのか」
「何でそれだけ飲めるんだよ」
「それも毎日」
「美味しいから」
持ち前の無表情で言う、とかく小野くんは青汁を飲んでいた。友人達はそのことがどうしてもわからなかった。
そしてだ、それは両親も同じで。
家で青汁を一度に何杯も飲む我が子に信じられないという顔で言っていた。
「本当に青汁好きだな」
「そんなまずいものよくそれだけ飲めるわね」
「息子でも味覚がわからないな」
「どんな味覚してるのよ」
「だって美味しいから」
両親への返事も同じだった。
「だから」
「そう言うけれどな、御前は」
「そう言っていつもストレートで飲んでるけれど」
「こんなのお砂糖とか入れてもそう飲めないぞ」
「そうそうね」
「こんなに美味しいのに」
まだ言う小野くんだった。
「皆そう言うのが不思議だよ」
「御前の方が不思議だ」
「お母さんもそう思うわ」
「何でこれが美味しいんだ」
「どう味わってもまずいわよ」
「幾ら健康によくてもな」
「まずいものはまずいのよ」
両親はこう言って青汁を飲まない、それでこの飲みものをいつも美味しく飲んでいる息子を不思議に思っていた。普段から我が子ながら不思議だと思っていても。
しかし他人にあれこれ言われて自分のポリシーをあらためる小野くんではなくとにかく青汁を飲み続けていた、その為か。
彼は健康ではあった、それである日見舞いに行ったクラスメイトに青汁を出してこう言ったのだった。
「飲めばね」
「風邪もかよ」
「一発でなおるよ」
こう言ったのだ。
「それこそね」
「それは知っていてもな」
クラ
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