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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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も当然違う。よく昆虫を人間大にすると自重で潰れるって言うが、鳥も同じだな。あいつの車椅子生活は、無理をしないように枷としての役割だけじゃなく、物理的に脚の骨が体重を支えられなくなってたっつーワケだ』
「……身体の方はそんなところだね?別に、クチバシやかぎ爪ができかけているとか、そこまで馬鹿らしいことにはなっていない」
軽口に大爆笑を返してくれた受話器から耳を離しながら、いや違う、とカエル顔の医者は思う。
ここまでのデタラメが並べられていて、体表面上に何の異常も出ていないことがおかしいのだ。肩甲骨と尾骨の辺りに形成されつつある新たな骨にしても、まだ小さいということで見た目からは分からない。成長速度から見ても本人が違和感を感じるこそすれ、見て分かるような何かは起こりえないだろう。
例えば黄疸や紅斑のように、見た目というのは身体の異常を知らせる重要なファクターである。ここまで内部で異常が現れているにも関わらず、警鐘であるそれらが一切噴出していないことに医者はいっそ不気味なものを感じる。まるで重傷者が最期、痛みを感じずに笑顔で喋っているようなものだ。
ふと医者は、生物繋がりか蝶のサナギを思い起こした。
昆虫特有の変態方法だが、あれは脱皮とは違って元の形とは完全に逸脱した結果に繋げるために、外側からでは想像つかないリセットが内部で行われている。一度全身をドロドロに融かし、まったく新しい別の何かに生まれ変わる。
医者はここまでの経緯を見聞きし、致命的なバグという仮説をたてたが、本当にそうだろうか。
もしかしたらそれはもっとマクロな視点で彼が羽化しようとしている予備動作なのだとしたら……、と少々外れ気味の思考をぼんやりと保ちつつ、しかし医者は小さく首を振った。
「何度も言うが、彼は限界だね?対症療法といっても、ここまで常識外れに付ける薬はないよ」
『なら何度も返そう。それでいい。アンタから見ておしまいなアイツが、ここまでもっているのは紛れもなくアンタの手腕だ。つーか、研究対象に向ける目をしないほうがおかしい案件だと思うんだけどな?』
この言葉に、カエル顔の医者は即答で反応を返した。
「僕は医者で、あの少年は僕の患者だ。それは変わらないんだね?」
『……あんがとな、先生』
変わらぬトーンで、変わらぬ口調でそう言った声に、医者は思わず顔をしかめる。
この言葉は真実だ。
小日向相馬は今本当に、心の底からそう思っている。だが、それは実弟を心配することとイコールで結ばれてはいない。想定通りに事が運んでいることに対しての感謝であり、その成功に関わるネジがまだ壊れてないことへの安堵なのだから。
だから医者はこれまでの淡々とした調子を崩し、あえて嫌悪感を隠さずにこう言った。
「小日
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