第四十三話 鞍馬山その四
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「わし等もよくであります」
「天狗達と共にでござるか」
「修行をしているであります」
「そうでござったか」
「ですからわしの棒術も」
大江山で英雄達と共に賊達を倒したそれもというのだ。
「天狗達とも稽古をして」
「鍛えたでござるか」
「そうであります」
「そうでござったか」
「天狗は神通力だけではないでござる」
「闘うこともでござるな」
「出来る者達であります」
そうした者達だというのだ。
「そしてであります」
「術もでござるな」
「山伏の術も使えるでござる」
「そうでござるか」
「そして神通力もであります」
この力もというのだ。
「あるであります」
「だから非常に強いでござるな」
「その強い天狗達と稽古をして」
そうしてというのだ。
「わし等は己を高めてもいるでござる」
「そうなのか、ではだ」
英雄は峰夫のその話を聞いてこう言った。
「是非だ」
「天狗達にもですね」
「お会いしたいですね」
「源義経は好きだ」
英雄は良太と謙二に彼等の世界の名将の話をした、日本の歴史上でも屈指の人気を誇る人物のことを。
「あの強さ、八艘跳びや鵯越の話もな」
「見事な体術も」
「それもですね」
「生きていて欲しいとも思っている」
衣川で死んでおらずだ。
「蝦夷、北海道に逃れていればな」
「よくそう言われる人がいますね、あの方については」
「古来よりも」
「兄頼朝公に討たれるその結末を覚えば」
「どうしてもそう思いますね」
「頼朝は嫌いだ」
英雄はこの人物のことも話した。
「陰気で陰険な印象がある」
「義経殿だけではありませんから」
「もう一人の弟君範頼殿も殺しています」
「木曽義仲殿もそのご子息も」
「多くの御家人や奥州藤原氏もですね」
「政権基盤を固める為に必要だとしてもだ」
このことがわかっていてもというのだ。
「すぐに人を殺す」
「それがですね」
「好きになれないのですね」
「そのせいかあの幕府の血はすぐに絶えた」
もっと言えば源為義の血筋はだ、源氏の直系は互いに殺し合いその結果誰もいなくなってしまったのだ。
「敵と戦うよりもまず身内だった」
「まず身内で殺し合う家でしたね」
「しかも棟梁が他の者を殺す」
「それも徹底的に」
「そうした家でしたね」
「だから頼朝も好きにはなれない」
頼朝が弟達を殺したからだ。
「どうしてもな」
「ですね、どうしてもです」
「頼朝公は評判が悪いですね」
良太も謙二も否定せずに言う。
「歴史的に」
「功績はあろうとも」
「義経公のことがあって」
「他にも親族殺しで」
「鎌倉幕府自体もだ」
頼朝が開いた最初の武家政権もというのだ。
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