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レーヴァティン
第四十三話 鞍馬山その三

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「指揮する軍勢にそうさせていたでござる」
「そして戦っていたか」
「そう聞いているでござる」
「わかったなら、今度から餅だ」
 英雄はここで決めた。
「餅を持って行ってだ」
「そうして焼いたり煮たりしてでござるな」
「食っていこう」
「それでは」
「だが今はこれを食う」
 また干し飯を口の中に入れて苦い顔で噛む。
「そして鞍馬山まで行くか」
「案内はお任せ下さい」
 峰夫はそれは大丈夫だとだ、英雄達に答えた。
「全てわかっているであります」
「ならな」
「朝になればであります」
「このままだな」
「進むであります、その頃には雨も止んでいるであります」
「止むか」
「この空気なら」
 肌で感じ取ったそれから話していた。
「間違いなくでござる」
「そうか、ではな」
「朝になったらであります」
「飯を食ってだ」
 これは忘れない英雄だった。
「出発だ」
「腹が減ってはでござるな」
「どうしようもない」
 何も出来ないからだというのだ。
「だから朝もだ」
「しかと食して」
「それから行く」
「では朝も」
「これを食う」
 干し飯を食いつつ峰夫に答えた。
「そうする」
「左様でありますか」
「確かに好きではないが」
 この感情は変わらなかった。
「それでもな」
「それしかないとでありますな」
「食う」
 もっと言えば食うしかなかった。
「そうする」
「さすれば」
「朝も食う」
 それを朝食とするというのだ、こう言ってだった。
 英雄は今はその好きではない干し飯を食った、そのうえでこの日は休み起きるとまた干し飯を食ってだった。
 洞窟を出て旅を再開した、山を幾つも越えてそうしてだった。
 遂にその鞍馬山に入った、すると良太はすぐにこう言った。
「この山もまた」
「はい、特別な感じがしますね」 
 謙二が応えた。
「大江山と同じく」
「そうですね」
「この山も霊山ということですね」
「はい、ただ気は感じませんね」
 大江山と違ってとだ、良太は述べた。
「この山では」
「そうですね、山自体がです」
「不思議な霊力に包まれた」
「神通力といいますか」
「そうした力に包まれていますね」
「そうですね」
「鞍馬山といえば」
 智も言ってきた。
「九郎判官義経殿でござるな」
「左様であります」
 峰夫がその智に答えた。
「我等の世界では」
「あの方が修行された山でござったな」
「鞍馬山に入り」
 そしてだったのだ。
「天狗達に剣術を習った」
「そうした山と言われているでござるな」
「実はこの世界ではであります」
「実際にでござるか」
「はい、天狗も住んでいるであります」 
 源義経の言い伝えの様にだ。
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