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Raison d'etre
二章 ペンフィールドのホムンクルス
16話 望月麗(6)
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…コンビニの中、入ろうか」
 近くにあったコンビニ。
 自動扉に近寄ると、センサーが反応してドアが開いた。店内は通常通り明かりがついている。電気は高梨市外から通常通り届いているらしい。
 補給物資の中にあった予備の小銃を、何となく外の駐車場に置いておく。
 もしも中隊員がこの前を通って落ちている小銃に気づいたら、向こうから中に入ってくるだろう。
「暖房、ついてますね」
 麗が店内に足を踏み入れながら呟く。
「人がいない事を除けば、ごく普通のお店だね」
 優はそう言って、レジカウンターにもたれかかるように座り込んだ。
 その隣に麗が腰を下ろす。
「ご飯、食べる? 色々あるみたいだけど」
 ゴソゴソと補給物資を漁り、食料を取り出す。
 固形食料に缶詰、クッキーのような保存食、レトルト品。
 どれも見慣れないもので、優は興味深くパッケージを眺めた。
 反対に麗は興味なさそうに店の外をガラス越しに眺めていた。
「お菓子みたいなのもあるよ。缶に入ったチョコケーキだって。ちょっと固そうだけど」
 緊張と不安を解こうと麗に声をかけたが、彼女は何も答えなかった。
 沈黙が落ちる。
 優は水の入ったペットボトルに手を伸ばし、口に含んだ。
 水を飲み込む音が、妙に大きく聞こえた。
 ペットボトルの蓋を閉め、ふと天井を見上げる。
 換気扇の静かな低音が唸っていた。
 静かだった。
 目を瞑る。
 そこでようやく、疲労が溜まっている事に気づいた。
 どっと眠気に襲われる。
「先輩」
 麗の声。
 薄く目を開く。
 彼女の栗色の瞳が、すぐ目の前にあった。
「先輩は」
 麗の手がゆっくりと上がり、優の頬を撫でた。
「私のこと、どう思っていますか」
 優はぼんやりと麗を見つめた。
 答えを待つように、麗は何も言わない。
「……麗ちゃんが何を考えてるのか分からない」
「なにって、そのままですよ。答えが聞きたいだけです」
 優は少しだけ考える素振りを見せて、それから首を横に振った。
「この状況で話すような事じゃないよ」
「この状況だから、です」
 麗の表情が、崩れた。
 今にも泣きそうな顔を浮かべ、口を開く。
「先輩は、先輩が思ってるよりも遥かに重要な存在なんですよ」
 麗の言葉が理解出来ず、優はじっと彼女を見つめた。
「亡霊は無限に出てきます。少なくとも、たくさんいます。でも、私たちESP能力者はたった500名弱で、しかも特殊戦術中隊に入ってるのはその半分にも満たない200人ほどです」
 麗の言っていることは正しい。
 しかし、何を言おうとしているのか、優にはわからなかった。
「だから、過去にESP能力者
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