二章 ペンフィールドのホムンクルス
10話 望月麗(2)
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はいるんですか?」
「それもいないかな。外出申請も全然出してないしね」
「それじゃ、私が一番乗りですね。勇気を出して良かったです」
麗はそう言って笑う。
年下とは思えないほどぐいぐいと距離を縮めてくる麗に、優は首を傾げた。
「そういえばいきなり告白されたけど、そんな好意を向けられるような出来事あったっけ?」
「単純に先輩がかっこよかったからですよ」
シンプルな答えだった。
店員がお皿を運んでくる。
何となく話が途切れてしまって、優はそれ以上の追求をやめた。
「わ、イチゴの数凄いです。これはもはやイチゴ丼です」
テーブルに届いたパンケーキを見て、麗がはしゃぐ。
「美味しそ――」
口を開いた時、優は違和感を感じて動きを止めた。
「先輩?」
麗が不思議そうな顔をする。
優は弾かれたように窓ガラスから表通りを見渡した。
──どこか遠くのほうで巨大なESPエネルギーが膨らんでいる。
しかし、その気配は5秒ほどで消えてしまった。
亡霊対策室から支給されている端末を取り出す。出撃要請は来ていない。
「先輩、どうしたんですか?」
「え? あ、ごめん。通りすがった人が知り合いに似てたから、びっくりして」
「後ろ姿とかだと、私もよく見間違います。あれ、勘違いしたまま声かけちゃうと恥ずかしいんですよね」
咄嗟についた嘘に、麗が経験談を話しながら楽しそうに笑う。
優は笑みを浮かべて頷きながら、気のせいだと自分に言い聞かせた。
──あんなに巨大なESPエネルギーが実在すれば、特殊戦術中隊など簡単に壊滅してしまうのだから。
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