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Raison d'etre
二章 ペンフィールドのホムンクルス
10話 望月麗(2)
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「先輩、やっぱり私服は綺麗めでまとめるんですね。よく似合ってます」
「ありがと。望月さんもよく似合ってるよ」
 麗は薄手のすっきりしたパーカーに、フリルスカートといった組み合わせをしていた。いつものように両側で髪を結っており、年相応といった感じがする。
「呼び捨てでいいですよ。先輩のほうが年上なんですから」
 目的のビルにたどり着き、1階のパンケーキ屋に入る。平日のため、それほど混んではいなかった。
「断られると思っていました」
 席についた麗が、不意にそんな事を言った。
「え?」
「今日のデートです。先輩、既に仲の良さそうな人がいるじゃないですか」
「京子とか華ちゃんの事? えっと、ただの友達だよ」
「そうなんですか?」
 店員がメニューと水を持ってくる。
 一瞬の沈黙。
 お勧めメニューを説明してから去っていく店員を確認してから、麗が言葉を続けた。
「先輩は、男女の友情って成立すると思いますか?」
「うーん。成立するんじゃないかな」
「私は成立しないと思ってます。私と同じ考え方の人は多分たくさんいます。だから先輩が成立すると思ってても、彼女さんとか友達の女性はそうは思っていないかもしれないですよ」
 麗はそう言って、水の入ったコップに口をつけた。
 その真意がよくわからず、えっと、と言葉を選びながら答える。
「だから、つまり、彼女が出来た後は、例え友人であっても異性とは関わらない方がいいって事かな?」
「そうです。中隊は上官や部下の形ですから特別ですけどね。だからさっき、言ったんです。中隊以外の人と繋がりなんて初めから持たない方がいいって」
 麗はそう言いながらメニューを開く。
「あ、これ美味しそうです。イチゴたくさん乗ってますよ。私これにします」
 話題を変えるように、麗が年相応のはしゃぎっぷりを見せる。
 優は少しだけ考えてから、先程の話題は流して同じようにメニューを眺める事にした。
「じゃあ僕はこれにしようかな」
「あ、それも美味しそうですね。半分ずつ交換したいです」
「そうしようか」
 店員を呼んで、オーダーを伝える。
 その間、じっと麗の視線を感じた。
 オーダーを終えて麗に視線を向けると、目が合った。
「先輩って綺麗な顔してますよね。本当に彼女いないんですか?」
 返答に困って思わず苦笑いを浮かべる。
「ありがとう。うん、いないよ」
「じゃあ好きな人はいるんですか?」
 好きな人。
 そう言われて何故か、神条奈々の顔が頭に浮かんだ。
 初めて会った時、綺麗な人だと思った。
 しかし、恋愛的な好意を寄せているわけではない。
「うーん。いないよ」
「じゃあ。これまで中隊でデートした人
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