第五十二話
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始まる前から負けてたまるかよ。」
俺がそう言うと、木曾はビリビリと自分の持っていた紙を破り捨てた。
「…………オレがやろうとしてたことを横取りするんじゃねぇよ。」
木曾はこのとき紙に、『死なねぇよ。』と書いていたらしい。流石だ。
「…………っぽい。まだ拓海くんの子供産んでないっぽい。」
夕立も、紙を破り捨てた。
「…………ッフ。私が逃げ腰じゃ勝てるわけも無いよな。」
長門さんも、紙を破り捨てた。
「…………そうだよ、勝つんだ!」
「負けない!絶対負けないんだ!」
「帰るんだ!提督からも言われたんだ!」
「死んでたまるか!」
皆、次々に破り捨てていった。
「…………上手く行ったじゃねぇか(ボソッ)。」
木曾は俺に近付いてくると、軽く小突きながらそう言った。
「…………やっぱり、お前にゃ隠し事は無理だな。」
実は、出撃準備で艤装を提督に着けて貰ってるとき、提督に頼まれていた。
『もしかしたら皆が沈んだり遺書を書き出したりするかも知れないから…………そのときは、頼むね。』
「人選バッチリじゃねぇかよ。」
木曾は笑っていた。俺は笑えなかった。
「さてと…………それじゃあ、進むぞ!そろそろ見えてくる筈だ!」
長門さんがそう言うと、皆がそれに付いていった。
皆、生きようとし始めていた。これなら、まだなんとかなるかもしれない。
俺はそんなことを漠然と考えていた。
―六分後―
「…………どうやら、あれで間違いないようね。」
加賀さんは遠くを見ながらそう言った。
目線の先には、海の上にたたずんでいる人影を見ていた。その先には、固まって立っている人影。あれが恐らく春雨達だろう。まだ危害は受けていないらしい。
んで、あれが戦艦レ級と…………。
人型ではあるが、尻のところから何やら尻尾のようなものが生えていた。やっぱり、深海棲艦だ。
レ級は、上を見上げていた。
「…………流石に、おかしいよな。」
俺はボソッとそう言った。
「あぁ。報告があったのがだいたい一時間位前。なのに、アイツは全く動いてない。」
木曾が俺の意見に賛同してくれた。
「何かを待ってる…………?」
俺がそう言った時だった。
「ヤァ、艦娘ノキミタチ。」
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