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儚き想い、されど永遠の想い
380部分:第二十九話 限られた時その十一
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第二十九話 限られた時その十一

「そのことがわかりました」
「今ですか」
「そうですね。今になります」
 真理を見ながらだ。さらに出した言葉は。
「貴女と。真理さんとこうして花を見るようになってからですから」
「私とですか」
「はい。貴女とです」
 真理を見てだ。温かい声で話すのだった。
「それ故にです」
「私は。そんな」
「いえ、貴女と会ってから気付いたことですから」
 それ故にだとだ。義正は話すのである。
「そうだからこそです」
「そうですか」
「お茶はいいものです」
 あらためてだ。義正はまた言った。
「そしてそのお茶を見ながらお花もです」
「それもですね」
「心を落ち着けて飲むお茶はです」
「確かに。私もこうして見ていますと」
「ではもう一杯如何でしょうか」
 義正は真理に抹茶をもう一杯勧めてきた。
「今から淹れますが」
「御願いできますか」
「はい、どうぞ」
 こう話してだった。そのうえでだ。
 義正が真理に淹れ真理が義正に淹れて。二人で楽しんだのだ。それが終わってからだ。
 真理はふとだ。茶を飲み終えてから言ったのである。
「あの子がもう少し大きくなれば」
「その時はですね」
「二人ではなく三人で楽しみたいですね」
「はい」
 義正は真理のその考えに微笑んで頷いてみせて。
 そのうえでだ。こう答えたのである。
「私もそう思います」
「こうして二人でいるだけでもいいですが」
「家族なのですから」
 全てはそれに尽きた。家族だからだ。
「そうしたいですね」
「では。あの子がもう少し大きくなれば」
「その時には」
 こうした話もしてだった。二人は桜を楽しんだのだった。最初の桜を。
 それからだ。屋敷に帰りだ。その子を見てだ。
 こうだ。笑顔で話したのである。
「私は必ず」
「その時まで、ですね」
「生きます」
 その幼子を見ての言葉だ。
「次の春にはそれが出来る筈ですから」
「そうですね。その頃にはこの子も」
 今はあまりにも小さく動かせない。だがそれでもだというのだ。
「大きくなって。それで」
「三人でお花を見られるようになりますね」
「春です」
 何につけてもだ。春だった。次のだ。
「その時にです」
「生きて」
「三人で見ましょう」
「多分あの子はもうすぐ」
 生まれて間もないがだ。それでもだというのだ。真理が言った。
「お外にも出せますね」
「そうなりますね。揺り篭の中ですが」
「それならです」
 真理はさらに言う。
「これからは三人で一緒に」
「過ごしますか」
「家族ですから」
 だからだった。何につけてもだ。
 二人は今は二人だった。しかしそれでもこれからは三人でいつも過ごすことを考えながらだ。桜を
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