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夢幻水滸伝
第四十一話 耳川の合戦その二
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「私がだね」
「御前さあとでごわす」
「わかってるとよ」
 純奈が応えた。
「うちも行かせてもらうたい」
「そしてでごわす」
「はい、僕も」
 又吉も応えた。
「攻めますね」
「そうしてもらうでござる」
 まさにと言うのだった。又吉にも。
「全員で攻めるでごわすよ」
「それでは」
「四万対十万でごわす」
 兵力差もだ、北原は言った。
「数は二倍半、しかしでごわす」
「その二倍半の差をたい」
 純奈が鋭い目になって続いた。
「覆すたい」
「その為の釣り野伏でごわすよ」
「しかも夜に攻める」 
 雪路もその目が鋭い。
「そうしてだね」
「その十万の兵を徹底的に打ち破るでごわすよ」
「ではたい」
「今夜仕掛けようね」
「二人には夜に向けて準備をしてもらうでごわすよ」 
 こう言った北原だった、そしてだった。
 全軍にだ、強い声で命じた。
「では今夜は夕方のうちにでごわす」
「食事をですね」
「摂るでごわすよ」
 こう言うのだった。
「たらふく、しかしでごわす」
「煙を出さないものですね」
「煙が早いうちに出てはでごわす」
 こう又吉に言うのだった。
「敵にわかってしまうでごわす」
「その通りです、飯を炊くなりしては煙が出ます」
 どうしてもだ、木を使うにしてもそれがコークスにしてもである。火で燃やすとそれだけで煙が出るものだ。
「だからですね」
「そうしたものを食うでごわす」
「そしてそのうえで」
「夜に動くでごわすよ」
「わかりました」 
 こう言ってだ、そしてだった。
 北原は全軍に戦の用意をさせていた、それは関西の軍勢も同じで。
 密かにだ、中原は全軍に命じていた。
「いいか、一兵たりともや」
「はい、迂闊に動くな」
「そうですね」
「そや、全員指示に従ってもらう」
 総大将である自分のというのだ。
「そうすれば勝てるし生きられる」
「この戦において」
「そうなりますか」
「この戦に勝てば褒美は思いのままや」
 賞与もかなり与えられるというのだ。
「そやからな」
「勝手なことはするな」
「下手に動くな」
「そういうことですね」
「そや、一回でも死にたくないやろ」
 例え蘇られるにしてもというのだ、寿命まで生きられる世界にしてもだ。
「死ぬと痛いからな」
「らしいですね、わしまだ死んだことないですけど」
「わしもです」
 殆どの兵達がそうだった。
「けれどやっぱり痛いらしいですわ」
「もう血が一杯出て」
「首とか撥ねられたら焼けるみたいに痛いとか」
「その痛さ忘れられん様です」
「そうなんか、死んだらそんな感じか」
 中里も死んだことがないので実は実感としては知らなかった、それで彼等の話を聞いて知ったのだ。
「痛い
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