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夢幻水滸伝
第四十一話 耳川の合戦その一
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               第四十一話  耳川の合戦
 関西の軍勢は高城の前に来た、そこでだった。
 城を囲んで布陣したが中里は囲んだ高城を見て言った。
「特にこれといってな」
「堅固な城ではないぜよ」
「攻め落とすことは出来ますね」
 正岡と織田が彼に答えた。
「城の規模を見ますと」
「特に難しそうじゃないぜよ」
「そやな、ただ守ってるのがな」
 それが問題だというのだ。
「美鈴ちゃんやしな」
「九州の軍師ですね」
 織田は中里の口から彼女の名前が出たところで言った。
「陰陽師としての力量も相当であり」
「しかも性格的に守りの戦に強い」
「ですから」
「下手に攻めるとな」
「守られてしまい」
「そしてや」 
 ここでだ、中里は自分達の南を見た、その山のところにだった。
 九州の軍勢の主力がいた、その彼等を見て織田達に言った。
「あの連中が来るわ」
「城攻めの時に攻められるのはいかんのう」
 井伏も彼等を見つつ言った。
「そうなれば挟み撃ちじゃ」
「先輩もそれをわかってて守るわ」 
 山本も言って来た。
「あの高城をな」
「そうや、そやからあの城は攻めん」
 中里は井伏と山本にも確かな声で答えた。
「攻めたらそれで終わりや」
「一瞬で攻め落とせたらいいんだがね」
 玲子はこの場合は攻めていいとした。
「しかしね、先輩もそうはさせないだろうね」
「攻めだした時点であの連中も動いてくるしな」
 九州の軍勢を見て言う中里だった、自分達が城攻めをすればそれを見て即座に動いてくるというのである。
「そうしてくるさかい」
「攻められないね」
「そや」
 その通りだというのだ。
「敵の思う壺や」
「だから攻めないね」
「あの城は目の前の餌や」
 それになるというのだ。
「そやからな」
「攻めたら馬鹿だね」
「相手の考えが読めててそれに乗るか」
「それはこっちに策がある時や」
 ここで芥川が言ってきた。
「そして城攻めではや」
「策は使わんな」
「そや」
 そうするというのだ。
「ええな」
「わかった、ほなな」
「これから攻めるで」
 こう言ってだ、そのうえでだった。
 関西の軍勢は今は城を囲んでいるだけだった、北原は山の上に布陣したままで共にいる者達に言った。
「やっぱり攻めないでごわすな」
「予想通りですね」
 その北原に又吉が答えた。
「このことは」
「見てわかる餌にはかからないでござる」
「そこまで愚かではないですね」
「むしろ賢明でごわす、では」
「はい、やはりですね」
「釣り野伏でごわす」
 それを仕掛けるというのだ。
「いいでごわすな」
「そうしますか」
「それで勝つでごわす」
「わかったよ、じゃあね」
 今度は雪
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